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男性がなかなか言えない「女性が心をひらく“ひと言”」

黒川伊保子(感性リサーチ代表取締役社長)

2020年05月11日 公開

 

「心の対話」の始め方(1) 相手の変化点に気づいて、ことばをかける

ここからは、「心の対話」を始める際のマナーについて述べる。

恋人や家族と気持ちを通わせたいとき、部下に少しリラックスしてほしいとき、アイデア出しの会議の初めなどに心がけるといい。

先ほどのスカートの例では、夫は、「それ、いいね(似合うね)(素敵だね)」と言うべきだった。ちなみに「こないだもはいてたわよ」と言われてもひるむことはない。そう言いながらも嫌な気持ちにはけっしてなっていないから。

なんなら「今日のきみが特別なんだね」と返せばいい。相手の変化点に気づいて、ことばをかける。これは、心の文脈の導入に最も適した始め方だ。

これには、3つのテクニックがある。

《褒める》相手のポジティブな変化点を察知したら、「髪型、変えた?」「なんだか、嬉しそうだね」「そのスマホケース、カワイイね」などと褒める

《気遣う》相手のネガティブな変化点を察知したら、「元気ないね、大丈夫?」「それ、僕がやろうか?」と気遣う(ポジティブな変化点と違って、「目の下にクマがあるね」「髪がばさばさだね」というような具体的なことは指摘しない)

《ねぎらう》状況を察知して、ねぎらう(寒い中を歩いてきた相手に「寒かったでしょう?」、買い物袋を運んできた相手に「重かったでしょう?」)

しかしながら、ゴール指向問題解決型の脳は、そもそも「目の前の人の変化点」に気づきにくい。

なぜなら、狩りによって進化してきた神経回路モデルなので、遠くの動く対象に、瞬時にキッパリと照準を合わせるために、目の前のあれやこれやに目を向けないようなチューニングがなされているからだ。

したがって、ここで述べた「相手の変化点に気づいて、ことばをかける」は、存外難しいのである。

夫と妻の間なら、「妻が買い物から帰ってきたら、玄関まで飛んで行って、荷物を受け取りながらねぎらう」とか「こう言われたら、ああ言う」などとルール化できるのだが、ビジネスシーンだと状況が多岐にわたっていて難しい。ときには、セクシャルハラスメントに抵触することもあるし。

そこで、もう一つの手を推奨する。

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