男性がなかなか言えない「女性が心をひらく“ひと言”」
2020年05月11日 公開
女性に話しかけようとして、「それいつ買ったの?」「今日、どこ行ってた?」といった、「5W1H」の質問をするのは慎重になったほうがいい。恋人や家族と気持ちを通わせたいとき、部下に少しリラックスしてほしいときなどに、そんな尋問のような問いかけをしても逆効果である。
では、どんなふうに話しかければよいのか?本稿では、人工知能の研究者である黒川伊保子氏の著書『コミュニケーション・ストレス』より、誰でも使えるテクニックをアドバイスした一節を紹介する。
※本稿は、黒川伊保子著『コミュニケーション・ストレス』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
男女で違う、脳の「感性」
私は人工知能の研究の過程で、脳が「とっさの使い方」によって、2種類に大別されることを発見した。
一つは、女性に多い「プロセス指向共感型」の脳。感情によって記憶を想起し、プロセスを解析することによって深い気づきを生み出す脳である。
もう一つは、男性に多い「ゴール指向問題解決型」の脳。事実を客観的に把握し、ゴールを定め、問題解決を急ぐ脳である。
この二つの脳の感性の違いが、さまざまな男女の行き違い、すれ違いを生んでいるのである。
女性はなぜ5W1Hの質問に答えないのか
ゴール指向問題解決型の人は、「今日、何してた?」「どこに行ってた?」「いつ買った?」「最近、どう?」などと、尋問のような会話の始め方をすることが多い。
「女はなぜ、5W1H(何、いつ、どこ、だれ、なぜなど)の質問に答えられないのでしょうか」という質問を受けたことがある。
――家に帰ったら、妻が新しいスカートをはいていたので、「いつ買ったの?」と聞いたら、「安かったから」と答えた。女はなぜ、「いつ」と聞いたのに、それに答えないのだろう?
私こそ「なぜ、その発言?」と聞き返したくなった。「それ、いいね」「似合うね」が、なぜ言えない?
新しいスカートに、いきなり「いつ買った?」と尋ねられたら、家計を預かっている者の脳には、「(相談もせずに)いつ買ったの?」と響いてしまう。なので、「(相談もせず買ったのは)安かったから」と応えているのだ。
夫のほうは、(このスカート、見慣れないな。新しいのかな?)と思い、それを確認するために「いつ買ったの?」と質問しただけなのに、妻側には、マウンティングされた嫌な感じが残るので、話題は、そこでふっつりと途切れてしまう。
このときの夫の目的が、本当に「家計管理上、スカートの購入スペックを確認したい」のだったらしかたないが、「妻と話がしたかった」のだったら、完全に裏目に出ている。
職場でも、このすれ違いはある。「あの資料、どこへやった?」「あー、置きっぱなしだったので」これも、部下の側が、資料を片付けたことを叱られていると感じて、言い訳を急いだケースだ。
しかしながら、職場においては、5W1Hの質問をした側には、なんら落ち度はない。部下は5W1Hの質問にまっすぐ答えなければならない。