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「肥満の犯人は脂質ではない」アメリカの医師が主張する驚きの”新説”

マーク・ハイマン(監訳:金森重樹)

2020年05月26日 公開 2023年01月13日 更新

《緊急事態宣言が発令され、2カ月に及ぶ自粛生活は私たちの生活に多大な影響を与えた。自粛により、家にいる時間が増え、「コロナ太り」を経験している方も数多くいらっしゃるはず。

そんななかアメリカの医師であるマーク・ハイマン氏の著書『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』が刊行される。同書にてハイマン医師は、驚きの新説を展開している。コロナ太りに苦しむ日本人にとって、出口戦略となるのか? 本稿では同書の一節を紹介する。》

※本稿はマーク・ハイマン著、金森重樹監訳『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事』(SBクリエイティブ刊)から一部抜粋・編集したものです。

 

「脂質は肥満の原因」という幻想

あなたの健康と長寿のために一番良いことは何だろうか。

それは、もっと脂質を摂ることだ! そう、もっと脂質を摂って体重を減らし、内臓脂肪を落とし、元気になり、長生きしよう。 なぜそんなことが言えるのだろうか。

すべての健康管理や栄養の専門家、主要な医師会や政府は、脂質が肥満と心疾患をもたらすとして、脂質の摂取を減らすことを提唱してきたのではないのか。人々はこの50年間、こうしたアドバイスに忠実に従ってきたが、肥満や病気に悩む人がますます増えている。

確かに、体についた脂肪は病気の原因となり、早死ににつながる。しかし、私たちが摂取する脂質が体の脂肪になって動脈を詰まらせるという、一見まともな論理の飛躍は間違っている。

これは無理もない間違いだ。脂肪を食べれば、それが体脂肪に変わるという考えはわかりやすい。

どちらもfat という同じ語で、外観と感触も同じだ。栄養学者は、脂質には炭水化物やタンパク質(1グラム当たり4カロリー)の2倍のカロリー(1グラム当たり9カロリー)が含まれると警告しており、脂肪の摂取を減らすと体重が落ちて体調が良くなるに違いない。これは常識のように思える。たった1つのこと以外は……。

私たちはこの考えをすっかり受け入れてしまったが、これは科学的には間違っている。実のところ、科学的な研究結果はまったく反対の事実を示しているのだ。データを詳細に調べると、「脂肪を摂るとお腹が凹む」。実際は、脂質を食べれば食べるほど体脂肪が落ち、身体機能が改善するのである。

「脂質への誤解」が解けたきっかけは脂質に関する二つの大きな説が誤りだとわかったことだった。

1番目の説はすべてのカロリーが体内で同じように作用するというものだった。脂肪1グラム当たりのカロリーは炭水化物やタンパク質の2倍以上あるため、当然、脂質の摂取を減らせば体重が減るということになる。つまり、あなたが摂る脂肪が内臓脂肪や皮下脂肪といった体脂肪に変わるというわけだ。

2番目の説は脂肪であるコレステロールの沈着が心臓病を引き起こし、脂質の摂取が心臓病の原因になるというものだった。筋が通っているように思えるが、体は複雑でこんな単純すぎる結論ではとても説明できない。すべての科学者と関連業界は間違った仮定にもとづく誤った考えにのめり込んできた。

現在、脂質が体重増加と心臓病の根本原因であることを示すエビデンスはなくなり、本当の原因である炭水化物と糖質に批判的な光を当てるエビデンスが増えつつある。

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