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社会

動物看護師の悲痛な訴え…飼っていた猫を保健所に持ち込む「飼い主の無責任」

鈴木聖子(動物看護師/彩の国動物愛護推進員)

2020年07月28日 公開 2023年09月27日 更新

 

身勝手な飼育を引き起こす「衝動買いの助長」

ペットショップでの「衝動買い」は身勝手な飼育を引き起こす大きな原因です。

大型スーパーにペットショップが併設されていると、ついついペットを見に行ってしまうことはありませんか? 飼う気はなくても買い物のついでに寄ったペットショップで、かわいさのあまりに衝動買いしてしまう人も実は多いのです。

気になった子はショーケースから出して実際に触れ合うことができますが、小さくてかわいい子犬や子猫を抱いてしまったら誰だって飼いたくなってしまいますよね。

実はこれ、ペットショップの売り方のひとつでまさに衝動買いを促しているようなもの。購入してくれそうなお客さんには積極的に売ろうとするのは当たり前です。

「この子はとてもあなたになついていますよ」
「体も丈夫で、病気になりにくい犬種なんです」
「一緒に帰りたがってるみたいですね!」

こんな風に、購買意欲をかきたてるのもペットショップの売り方。また、購入後もペットショップ側からは簡単な説明しか行われないのが一般的です。

生涯飼育にかかる手間や費用については、購入者の不安を誘って購入がその場でキャンセルにならないためにも、そこまでは深く触れないほうが店側にとっても都合が良いのです。

ちなみに、現在は動物愛護管理法によってペットショップでの犬・猫の展示時間は規制されているので、深夜まで展示・販売を行っている店舗はありませんが、それ以前は普通に行われていました。

一時期、私が働いている動物病院でも深夜営業を行っていたペットショップと提携し、購入されたペットの健康診断などに対応していたことがあります。

深夜営業中のペットショップに訪れるお客さんには、「ペットを飼おう」という目的やその覚悟を持って足を運ぶ人はあまりおらず、その多くがプレゼント目的やお酒に酔った勢いで購入していました。

そのため、朝方に健康診断のために動物病院を訪れる飼い主さんは、夜のお仕事をされている方が多かったのをよく覚えています。

しかし、夜のお仕事をしている方はなかなか家で過ごせる時間を確保できなかったり、ペットの世話をしっかりとみることが難しいと思います。

加えて、自分の意思ではなく心構えもないままに飼い始めてしまったペットですから、飼育放棄のきっかけになっていたとしても不自然ではありません。

 

ローン決済の存在が衝動買いをさらに助長する

犬と猫の場合、ペットショップで販売されている金額は数万円から数十万円が相場です。種類や年齢にもよりますが、決して安い買い物ではないため衝動買いが起きてしまうのを不思議に思う人もいるかもしれません。

しかし、最近ではペットショップでもクレジットカードの分割払いに対応しており、簡単にローンを組むことができてしまいます。

また、クレジットカードなどを発行しているローン会社が独自に用意している商品のなかには、ペットの購入費用だけでなく、多額の医療費などにも幅広く利用することができる「ペットローン」も用意されています。参考として、実際にあるペットローンの例を下記にまとめました。

【ペットローンの例1】
・10~700万の借入可能
・借入期間は1~8年
・金利 年3.8~13.5%
・担保/保証人不要
・満20歳以上、満60歳未満であること
・年金収入のみ、学生、専業主婦(夫)、無職だと利用不可

【ペットローンの例2】
・10~800万円の借入可能
・借入期間は6ヶ月~10年
・金利 年2.5~7.5%
・担保/保証人不要
・満20歳以上、満65歳未満(完済時の年齢が70歳以下)
・安定した収入があること

例えば、(1)のローンを利用して、ペットの購入費に充てる30万円を借りたとします。返済期間を3年とし、金利が最も高い13.5%だとしても月々の返済は1万円ほど。そのため、収入がアルバイトだけの学生でも購入費を分割し、毎月少額ずつ支払えばペットを購入できてしまうのです。

さらにペットショップと提携している場合、指定の回数で返済すれば「金利はゼロ」ということもあります。そのため、ペットの値段が高額だったとしても毎月数千円~数万円の分割払いで購入できてしまうのです。

ローンを組める年齢であれば、金銭的に余裕のないときでもかわいいペットにひとめぼれし、借金をしてまで衝動買いしてしまう可能性は十分にあるのです。

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