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コロナでピンチ!銚子電鉄が仕掛ける起死回生の大作戦~すべては「電車を止めない」ために

「PHPオンライン衆知」編集部

2020年08月26日 公開 2020年08月28日 更新

映画製作に挑戦し、起死回生を図る

そんな銚子電鉄の次なる一手が映画「電車を止めるな!」だ。竹本社長自らが陣頭指揮を執り制作されたもので、2020年8月28日より公開される。

映画製作の相談を受けた当初、柏木常務は反対の声を上げたという。映画をつくってそれをヒットさせるなど、素人にはあまりにもハードルが高いと思われたからだ。

しかし、チャレンジもまた「銚電魂」である。そんな社長の信念に引っぱられ、銚子電鉄はクラウドファンディングで制作費用の一部を工面し、さまざまな協力者の理解と助力を得て、紆余曲折はあったもののついに映画の公開にこぎつけた。

銚子電鉄を舞台にした映画の内容は「心温まるコメディータッチのホラー映画」である。原作は、作家の寺井広樹氏の同名小説で、寺井氏は「まずい棒」や「お化け屋敷電車」の発案者だ。オリエンタルラジオの中田敦彦氏や、人気ホラー漫画家の日野日出志氏も友情出演している。

そもそもこの映画づくりは、電車を走らせるための「変電施設」の修繕費用2億円を稼ぎ出すために始められたものだ。もしも費用が捻出できなければ、銚子電鉄は本当に走れなくなってしまう。まさに「電車を止めるな!」という同社の叫びが、映画製作のエネルギーとなっているのである。

といっても、このコロナ禍のご時世では上映できる会場はどうしても限られてしまう。そこで、たとえ少人数しか入れなくても、上映できる場所があればどこでも上映するという方針を打ち出している。チケットの販売方法にも工夫を凝らし、お菓子や乗車券をセットにするなど、映画を盛り上げようと懸命だ。さらに、柏木常務は今後の展開として、各地のローカル鉄道とのコラボを計画しているという。

「いま、ローカル鉄道会社の経営はどこも厳しいのが実情です。でも、鉄道は地域住民の足として、観光のシンボルとして、なんとしても守り抜いていかねばなりません。ですから、各地のローカル鉄道にもご協力いただいて映画をヒットさせ、『電車を止めるな!』というムーブメントをつくっていければ、と考えています。すでに、えちごトキめき鉄道さんにご賛同いただき、沿線の高田世界館(新潟県上越市)での上映も決まりましたし、今後も、積極的に働きかけていきたいと思います」
 

「笑顔」を届けるローカル鉄道会社

銚子電鉄は、SNSやYouTubeなどを活用した情報発信に力を入れて、多くのファンの心をつかんでいる。公式YouTubeチャンネルの中で竹本社長は、「ここで経営が持ち直せなかったら、今年度を乗り切ることも難しい」などと赤裸々に語っている。実際、このままでは年内に資金ショートする可能性もあるという。

ただ、話している内容は非常に深刻なのに、悲愴感はどこにもない。なぜかその発信を見せられる視聴者は笑顔になってしまうから不思議だ。危機を自虐と笑いに変える明るさがそこにある。「自虐ネタは人を傷つけないからいいんです。お客さんに笑ってもらえますから」と竹本社長。経営難が続く中でも、銚子電鉄は今後も「笑顔」を届けてくれるに違いない。

「銚子電鉄は、地元はもちろん全国の支援者の善意に支えられているローカル鉄道会社です。もはや銚電の存在そのものがクラウドファンディングといえるかもしれません。ほんとうに感謝しています。ただ、いつまでも甘えているだけではいけません。応援してくださる皆様の期待に応えていかなければなりません。映画『電車を止めるな!』を観ていただき、笑いと感動をお届けし、これまでのお返しができればと思っています。とはいえ、銚子電鉄の映画ですから、あくまでも超C級です。あまり期待値を上げすぎずに、温かい目でご覧いただければ幸いです」

銚子電鉄の経営状況は依然として厳しい。もしもお住まいの近くで映画「電車を止めるな!」が上映されることがあったら、ぜひ足を運ぶことを検討していただきたい。
 

●上映館など、映画「電車を止めるな!」に関する情報は公式サイトまで。

●映画の公開を記念して、線路の石、サバ缶、Tシャツ、原作本が抽選で当たるプレゼントキャンペーンが開催中。Twitterで応募できます。

 

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