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コロナでピンチ!銚子電鉄が仕掛ける起死回生の大作戦~すべては「電車を止めない」ために

「PHPオンライン衆知」編集部

2020年08月26日 公開 2020年08月28日 更新


銚子電気鉄道 柏木亮常務
 

オンラインショップを充実させ「地域商社」を目指す

竹本社長の懐刀ともいえる柏木常務は、沖縄の老舗旅行会社・沖縄ツーリストの社員でもある。2015年に銚子電鉄が駅名のネーミングライツを募集した際、それに同社が応募したことが縁で銚子電鉄の経営に参画することになった。根っからの鉄道ファンだったこともあり、苦しい状況であればあるほど、鉄道マンとしての誇りとやりがいを感じると話す。そんな柏木常務が、今注力しているのが「オンラインショップ」のテコ入れだ。

「当社では、オンラインショップを通して、ぬれ煎餅をはじめさまざまなオリジナル商品を販売しています。ところが前の担当者が2019年に退職したこともあり、十分な運用ができなくなっていたんです。そこで、さらに訴求力のあるショップに改良し、新商品の開発にも取り組みました。おかげさまで4月以降、売上を伸ばすことができました」

銚子電鉄の主力商品としては、以前から「ぬれ煎餅」や「まずい棒」などの菓子類があった。これらに加えて、コロナ禍のニーズも踏まえ、飯沼観音の住職が厄除け祈祷した「サバイバルマスク」、サングラスと眼鏡拭きが入った「お先真っ暗セット」、ぬれ煎餅とお茶をセットにした「ぬれ茶った」など、ユニークなアイデアで品揃えを充実、メディアからの注目を集めた。

「他のローカル鉄道会社さんからは、『銚電さんはいいですね。うちには売るものがなくて……』とよく言われます。ただ、売るものがないということはないと思うんです。というより、ないならば、つくるしかない。もちろん、ぜんぜん売れないものもありますが、そこは社員みんなで知恵を絞ってやっています」

現在、銚子電鉄のオンラインショップでは、線路の石(『石に願いを』)から電車の吊り革(「感染防止対策グッズ 私は、う吊りません」)まで販売をはじめた。一見、ふざけているようにしかみえない商品もあるが、銚子電鉄はいたって真剣だ。ファンに喜んでもらうにはどうすればよいか、つねにアイデアをひねり出すべく、「真剣にふざけている」という言い方のほうが適切かもしれない。

こうした取り組みの結果、銚子電鉄の商品はSNSで話題となり、4月以降、オンラインショップの売上が同社の危機を救うことになる。

「ただ、オンラインショップの売上が伸びたといっても、それ以外の売上が大きく下がっているので、ある程度マイナスを埋めたというのが現実で、厳しい状況は変わりません。それでも多くの方々に商品を買っていただき、希望をつなぐことができました。4月には沿線農家とコラボした「ぬれ餃子」も発売しました。銚子は春キャベツの作付面積が日本一で、これに目を付けた商品です。こうした地域の特色を生かした商品を今後も開発して、『地域商社』としての役割を担っていきたいと考えています」

柏木常務が打ち出した「地域商社」というコンセプトは、これからの同社生き残りのキーワードになるかもしれない。

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映画製作に挑戦し、起死回生を図る

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