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「なかなか熟睡できない人」が疑うべき“食事の内容”

田村広大(予防医療診断士)

2020年09月05日 公開 2024年12月16日 更新

「いくら寝ても疲れがとれない」「たっぷり寝たのに、本調子が出ない」。そんな時、真っ先に疑うべきポイントが「食べ物の消化」だ。消化のメカニズムに沿った生活を送ることは、良質な睡眠をとるうえで実は睡眠時間よりも大事な要素である。

そう語るのは、株式会社インテグリティ代表で予防医療診断士の田村広大氏。同氏は1日3時間睡眠で日々を快適に過ごす「短眠法」の実践者であり、本業の保険営業で世界トップ1%の成績を残し、他にも5つの仕事をかけもちするスーパービジネスマンとしても活躍する人物だ。

本稿では、田村氏の著書『夢をかなえる短眠法~3時間で熟睡し、5倍濃く生きる』より、睡眠の質を下げないために、「消化」について注意すべき点を解説した一節をお送りする。

※本稿は田村広大著『夢をかなえる短眠法~3時間で熟睡し、5倍濃く生きる』(技術評論社刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

「食べ物の消化」が眠りの質を決める

1日のうちで、人間が一番エネルギーを消費する活動は何だと思いますか?

走ること? トレーニングすること? 頭を使って考えること?

じつは「食べ物の消化」です。脳が消化器官に指令を出すと、内臓が働き出すのです。

一度口に入れた食物が便として排出されるまで、一般的に12時間から16時間ほどかかると言われています。その間、私たち自身はまったく意識していなくても、脳や内臓はずっと働き続けることになります。

それは、寝ているときも同じ。睡眠時に消化が終わっていないと、脳や内臓は休まらず、いくら寝ても疲れが取れないということになるのです。

実際に、1日のエネルギーのうち、約8割が食べ物の消化に使われているとも言われています。とても大きな割合を占めていると思いませんか?

もし1日に使うエネルギーのうち、食べ物の消化に使われる分を8割から6割まで減らすことができたら……。

その分、脳や内臓の負担も減りますから、睡眠時に脳や内臓も休まり、翌朝はすっきり爽快に目覚めることができるでしょう。

楽に早起きするための強い味方になってくれるのが「酵素」です。酵素は、アメリカ人のエドワード・ハウエル博士が50年以上にわたって研究を続けて発見したもので、1985年に著書『酵素栄養学』の中で紹介され、そこから全世界へと広まっていきました。ハウエル博士は、「酵素の神様」と言われています。

酵素は人間に限らず、動物、植物などあらゆる生物に存在しています。食べ物をエネルギーに換えるほか、呼吸をするのも、手足を動かすのも、臓器を働かせるのも、すべて酵素の力によるものです。つまり、ありとあらゆる力の源が、この酵素だというわけです。

ハウエル博士は、酵素のことを「生命の光」と呼びました。遺伝子(DNA)によって日々生産され、年齢とともに少しずつ生産量が減っていきます。アメリカの医学部では、酵素を学ぶカリキュラムが必ず組み込まれていて、医療に応用することでガン患者は減少傾向にあるといわれています。

 

1回の消化に使うエネルギーは「フルマラソン1回分」!?

酵素には「消化酵素」と「代謝酵素」の2つがあります。消化酵素は、食物を細かく分解し、吸収できるようにします。代謝酵素は、分解されたものを使って、いろいろな細胞をつくり、身体をつくりあげていきます。

人間の体内に、消化酵素は24種類、代謝酵素はじつに2万種類あるといわれています。消化酵素と代謝酵素は連携を取っていて、消化がうまくいくと、代謝も円滑におこなわれますが、消化が悪いと代謝にも悪い影響が出ます。

食べ物をしっかり食べると、体内の酵素の80%が消化酵素に回り、代謝酵素はたったの20%になります。消化に重点がおかれるため、代謝がおろそかになってしまうのです。実際、人間の1日のエネルギーの8割は消化に利用されているともいわれています。

食事1回を消化するために使われるエネルギーは、なんとフルマラソン1回分に匹敵します。朝起きてすぐ食事をとる人は、起きてすぐにフルマラソンをしているのと同じことなのです。どれだけ身体に負担がかかっているかわかりますよね。

イメージとしては、消化酵素は「木こり」、代謝酵素は「大工さん」です。木こりが木を切って木材を調達し、大工さんはその木材を使って「細胞」という家を建てていきます。

食べ物ばかり食べている状態は、木こりばかりが増え、木材だけがどんどん出来上がっていくのと同じです。木材はあるのに、大工さんがいないので家が建てられないのです。

では、あまった材料はどうなるでしょうか? 木材なら置いておけばいいかもしれませんが、体内ではそれが脂肪として蓄積されます。こうして太るのです。代謝酵素という大工さんがいれば、細胞という家は建ちますし、余材もありませんから太ることはありません。

そのためにどうするか? 酵素の豊富な食材を食べるのです。消化酵素をあまり使うことなく食べ物を消化分解することで、「大工さん」である代謝酵素が増え、せっせと働いてくれます。

余剰在庫がなくなるからやせますし、いい細胞が常に体内に存在するので、短眠で長く起きていてもエネルギー切れになることなく、元気に過ごすことができます。

目覚めよく早起きできるためのコツは、「いかに消化酵素を使わず、代謝酵素を働かせるか?」にあります。消化酵素を多く消費するのは、糖や添加物の多い食事、血糖値を急激に上げる食品、そして食べすぎや夜遅くの食事などです。酵素のムダづかいは、寿命をも縮める結果になります。

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「食べる順番」が重要

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