大規模ショッピングセンターが消える?! 人口減少社会の新常態
2020年09月11日 公開
(写真:吉田和本)
コロナ禍への対策が喫緊の課題であることは論を待たないが、感染症はいずれ終息の日を迎える。21世紀の日本にとって最重要課題と言えば、やはり国家の存亡にかかわる「人口減少」であろう。
2040年代初頭にかけて日本社会は激変に見舞われる。すでに日本は大きな岐路に立っているが、政府や自治体、企業の動きは鈍い。いつまでも「過去の成功モデル」に固執していたのでは国家の衰退は免れないだろう。
事態の打開に向け、人口減少問題の第一人者である河合雅司氏は緊急出版した『未来を見る力』(PHP新書)で「人口減少に負けない思考法」の必要性を唱えている。
※本稿は河合雅司著『未来を見る力』(PHP新書)より一部を抜粋して再構成したものです。
少子化は決して止まらない
厚生労働省の発表によれば2019年の年間出生数が過去最少の86万5234人にとどまり、人口減少幅は51万5864人となった。
しかし、この人口減少幅はまだ序の口である。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2017年)によれば減少幅は年々拡大し続け、2040年代に入ると毎年90万人ほどの規模で減っていく。
ビジネス的な視点で考えるならば、毎年一つの県や政令指定都市と同規模の国内マーケットが縮んでいくようなものである。
こんなペースで減ってしまったのでは、国内向けの商品やサービスを扱う企業はもとより、ほとんどの業種が現状のまま成り立たなくなるだろう。地方自治体だって税収が減り、存続が危ぶまれる。
一刻も早く発想を切り替え、少子高齢化が進むこと、人口が減り行くことを前提として、どう対応していくかを考えなければならない。どうせ変わらざるを得ないのであれば早く挑戦を始めたほうがより多くの選択肢が残る。
重要なのは変化の方向性だ。変わるといっても、がむしゃらに努力したり、その方向を間違えたりしたのでは個々がうまくいかないだけでなく、場合によっては社会全体に致命的な打撃を加えることになりかねない。
変化の先行きを正しく見通し、的確に対応するには、人口減少に負けない思考法がどうしても欠かせないのである。
政治家の"意気込み"に付き合っている暇はない
しかも、高齢化がさらに進む。それはすなわち、現時点で子供であろうが高齢者であろうが年齢に関係なく、「残りの人生」はずっと人口減少社会を生きざるを得ないということだ。
2040年代になると毎年90万人規模で人口が減っていくと先述したが、それでは日本はみるみるうちに縮小していくことだろう。
社人研の将来推計人口を見ても、2015年の国勢調査で1億2,700万人余を数えた日本の総人口は、2063年に9,000万人を下回り、100年も経たないうちに5000万人ほどに減る。ここまで大規模かつ速いスピードで減少したのでは、あらゆる場面で社会は変わり行くだろう。
政治家などには「人口減少を止める」「少子化に歯止めをかける」などと気軽に語る人もいるが、現在の日本にはこうした"意気込み"に付き合っている暇はない。
一刻も早く発想を切り替え、少子高齢化が進むこと、人口が減り行くことを前提として、どう対応していくかを考えなければならない。どうせ変わらざるを得ないのであれば早く挑戦を始めたほうがより多くの選択肢が残る。
重要なのは変化の方向性だ。変わるといっても、がむしゃらに努力したり、その方向を間違えたりしたのでは個々がうまくいかないだけでなく、場合によっては社会全体に致命的な打撃を加えることになりかねない。
変化の先行きを正しく見通し、的確に対応するには、人口減少に負けない思考法がどうしても欠かせないのである。