高齢化が進むなか、親の介護のために会社を辞めざるをえないという人も増えている。現在、介護離職は年間10万人にものぼると言われているほどだ。
しかし、いったん会社を辞めてしまうと、正社員としての復帰は難しい。そんな時に使いたいのが、「介護休暇」と「介護休業」。どちらも、家族の介護が必要になった時に取得できる休みで、積極的に活用したい。
だが、両者の違いをきちんと説明できるだろうか? 本稿では、経済評論家の荻原博子氏が、休暇を有効活用して介護を乗り切る方法を解説する。
※本稿は、『保険ぎらい』(PHP新書)の内容を一部抜粋、編集を加えたものです。
「介護休暇」は、パートでも取得可能
家族の介護が必要になった時に取得できる「介護休暇」と「介護休業」は、名前が似ているので同じようなものと思われがちですが、この2つの制度は、介護で休める日数が違います。
「介護休暇」を利用して取れる休みは、介護が必要な家族1人につき1年で5日。介護する家族が2人以上の場合には、最大10日まで取得可能です。
半日単位で取ることができるので、半日ずつだと年間20日取れます(業務や働き方によっては難しいケースもあります)。
「介護休暇」は、条件次第では、正社員だけでなく半年以上雇用されているパートでも取得可能です。
介護休暇期間中の賃金の給付については、法的に定められているわけではなく、会社の裁量となります。