明智光秀と稲葉一鉄の不仲が「本能寺の変」の原因?…『麒麟がくる』が描いた“微妙な伏線”
2020年10月03日 公開 2022年06月30日 更新
稲葉一鉄VS.明智光秀 本能寺の変への伏線?
先の案内に続くが、美濃・斎藤家が何故負けたのか。優秀な家臣達が豊富にいたことは、ドラマを視聴しても分かると思う。その家臣達が織田軍からの攻撃を撃退したりと奮起したが、肝心の領主がポンコツで、家臣達の心が離れ始めた時に織田軍が調略に乗り出す。
その調略に乗ったのが西美濃三人衆という重臣。その筆頭が稲葉一鉄。この重要人物、稲葉一鉄と明智光秀が今回、再会した。ここで二人の微妙な関係を描いたのは後の伏線のためであろう。
此処が一番の名場面と儂が考えるのは、実は本能寺の変の要因が稲葉一鉄らしい…という説を聞いたことがあるからじゃ。
原因は家臣の取り合いである。稲葉一鉄には斎藤利三という優秀な家臣がおったが、喧嘩別れをして、明智光秀に仕えることになる。これにより稲葉が怒り、光秀に直接物申せば良かったが、稲葉は信長に伝える。
信長は光秀に「斎藤を稲葉の元へ戻すように」と話すが光秀が此れを拒否、それにより信長も怒ったという。この叱責が本能寺の変につながったとも言われる。
この時、斎藤は切腹を命じられて、切腹を避けるため光秀をそそのかしたという話も。切腹を命じられたのは、本能寺の変の5日前という。この事件については様々な声を聞くが、注目は光秀と稲葉は仲が悪く、その要因をドラマ中盤戦で描いたという点にある。
後半戦への伏線を敷いたのではないかと考える。『麒麟がくる』としてはどの説を取ってくるのか、多くの要因を合算させるやもしれんな?
因みに斎藤利三は明智筆頭家老として重宝される。この後、登場することがあれば、この説が採用される可能性は高くなるのう。
信長と光秀の接近が緊張感を呼ぶ
此度は本能寺の変の新たな伏線を張りつつ、信長に天下統一の考えと意思が無い事を描いた衝撃の演出もあった。
その考えを変えさせるきっかけを作るのが主人公、光秀。「大きな国」という大切なキーワードを斎藤道三から伝えられ、今尚ドラマの中で生き続ける。
然しながら、その意味を捉え違える信長と光秀。互いに吸い寄せられているが、激突するカウントダウンが始まったとも言える。故に此度の25回という中盤戦に相応しく、後半戦につながる演出、誠に天晴!
『麒麟がくる』は歴史好きの民の期待通りには描かない面と、一方で細部まで描くという面があり、ここから制作陣営の熱き想いが伝わってくる。
次回、第26回「三淵の奸計(かんけい)」でどのような驚きを与えてくれるか、今から楽しみじゃ。皆も共に楽しもうぞ、それではさらばじゃ。
【参考文献】
・『麒麟がくる 後編』 (NHK大河ドラマ・ガイド)
・『信長公記』
・『日めくり戦国史 きょうは何の日」 (淡野史良著、新人物文庫)
・岐阜県公式ホームページ