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「二条家 vs. 近衛家」名門貴族の1000年の争い…『麒麟がくる』が描いた根深き“因縁”

前田慶次(名古屋おもてなし武将隊)

2020年10月10日 公開 2022年06月30日 更新

 

「びた一文」の語源、鐚銭(びたせん)とは何か

近衛と二条のやり取りの中で出てきた鐚銭。悪銭(あくせん)など、様々な呼び方もある。

びた一文、という語源はここから生まれた。今の世では、この鐚銭は骨董としての価値があり、びた一文の価値ではなく、十分価値のある銭になっておる。鐚銭とは、欠けもあるような粗末な銭である。

簡単に案内すると、当時の銭は異国との交易でも使用しており、海外でも使用できる共通通貨としても機能しておった。故に沢山、消費する。そうすると無くなるわな。元々、銭は異国の銭で渡来銭と呼ばれたが、これが無くなり、国内で製造されたものが鐚銭。

ドラマでの天晴な演出は、此の時期に丁度、鐚銭が多く製造され始めたということを描いたところじゃ。「明国からの輸入が止まったとところ迄も表現するのか、麒麟がくるは」と儂も唸った場面である。時代が変わり、安土桃山時代では銭ではなく、金銀が主流となる。皆も知る大判小判が登場というわけじゃ!

 

二条VS近衛 1000年以上続く名門が関白の座を争う

二条家、近衛家は1000年以上続く名門であり、藤原一族の末裔である。原点は飛鳥時代、大化の改新と言えば想像しやすいかのう。

五摂家とは、藤原一族の最上位の方で、近衛、二条、九条、一条、鷹司の五家。五摂家の一族が関白に任じられる。その中の筆頭が近衛家。

何と、現世では日本赤十字社の社長が此の近衛家。二条家は最後の関白を輩出した。ドラマでは関白の座を取り合う描写もあったが、立場では近衛家の方が上。二条と密談していたのは、もしかしたら他の五摂家であったやもしれんな。

 

足利義栄の治療のシーンに見えた「戦国時代の療法」

さり気なくではあるが、天晴なといえる演出表現があった!

瀉血(しゃけつ)と呼ばれる治療の表現が見られたのじゃ。将軍足利義栄が重い病であると表現されたが、そのシーンで血が抜かれていた。戦国時代以前より重い病とされると血を抜いていた。

何気ないシーンで、細かな演出を入れてくる、さすがは『麒麟がくる』じゃ。

 

悪役? 朝倉筆頭家老「朝倉景鏡」、初登場

朝倉義景のいとこ、朝倉景鏡が初登場。かなり印象的で、視聴者に爪痕を残した。

景鏡は、朝倉一門の筆頭と言っても過言でもなかろう。朝倉義景の代わりに朝倉総大将も務め、金ヶ崎の戦いで織田信長を撃退する。ドラマで描かれていた通り、義景と馬が合わず、後に織田軍に寝返り、義景を自害まで追い込む。

ドラマとしてどこまで描かれるか分からぬが、此度の登場は悪役風で三淵と結託したりと、大大名朝倉家なれども戦国時代を生き抜くのは難儀であるという事を示すかのような味を出してくる辺り、儂は感服致した!悪役のようなと申したが、戦国時代では至極当然の判断であり、行動である。

 

大大名ですら安住の場所はない戦国時代、家中が統率されていない現実を伝えてくれる天晴な回であった!

次話、27回「宗久の約束」では、信長も畿内進出を果たし、そしてその人間性がどう変わっていくのかも見所である。それを光秀がどう感じ、行動していくのか。次回も皆で楽しもうぞ。それでは、さらばじゃ!

出典
『戦国武将ものしり辞典』 (主婦と生活社) 奈良本 辰也 (監修)
『戦国 忠義と裏切りの作法』(ジー・ビー)小和田哲男 (監修)

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