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「木曜日がしんどい」は自律神経が関係していた! 即効、やる気を起こす“呼吸法”

小林弘幸(順天堂大学医学部教授/日本体育協会公認スポーツドクター)

2020年11月26日 公開 2024年12月16日 更新


撮影:山口規子

疲れには、休めば回復する"いい疲れ"と、長引く"悪い疲れ"があります。この悪い疲れは、なにが原因なのでしょうか。一体われわれの身体になにが起きているのでしょう。自律神経研究の第一人者である小林弘幸氏が、自律神経をコントロールし、「疲れ」や「やる気が起きない」といった悩みの解消法を紹介します。

※本稿は、小林弘幸(著)『名医が実践する「疲れない」健康法』(PHP新書)より、一部抜粋・編集したものです。

 

「疲れ」と「自律神経の乱れ」の深い関係

健康状態を左右するほどの重大な働きをする自律神経ですが、私がこの研究を始めた30年前は、医療界でもほとんど注目されていませんでした。自律神経の働きは、計測が難しかったため、科学的な根拠(エビデンス)をとりにくかったからです。

最近になって、誰もが目に見える数値として計測できる機械が開発されました。これによって、自律神経に関する研究を進めやすくなっています。私のいる順天堂大学の研究チームでは、24時間、簡単に計測できる装置を企業と共同開発しました。そして、あらゆる年代のデータを集めています。

この私たちの研究によって、「疲れ」と「自律神経の乱れ」が深くかかわっていることが分かっています。たとえば、ビジネスパーソンを中心としたデータでは、1週間のうち木曜日にもっとも自律神経の働きが低下していることが計測されました。

それが金曜日になると、具体的な疲れ対策を行わなくても、自律神経の数値が自ずと回復したのです。とてもおもしろい計測結果です。一週間の疲れがだんだん蓄積していくと、それにともなって、自律神経の働きも低下していきます。

ところが金曜日になると、「やったぁ、明日は休みだ」と思うでしょう。その思考が働くだけで、自律神経の状態はたちまちよくなるのです。このように、疲れは自律神経を低下させます。

しかし、ちょっとした思考の変化を自ら起こせれば、自律神経の働きをいとも簡単に高められるのです。

 

自律神経をコントロールできれば、悪い疲れは起こらない

自律神経のバランスの整え方は、車の運転とよく似ています。車は、アクセルを踏みっぱなしにすれば事故を起こします。ブレーキだけでは前に進みません。両方を一緒に踏めば、車が壊れるでしょう。

これらを上手に操ってこそ、安全かつスムーズに目的地にたどり着けます。自律神経も同じです。アクセル役の交感神経と、ブレーキ役の副交感神経。この両者がバランスよく効果的に動かせることで、自律神経の機能は高まり、人は健康を増進できるのです。

交感神経と副交感神経のバランスは、1日中、リズムを打つように、たえず変動しています。そのなかで、いちばん大きくて重要なリズムがあります。

それは、人が活動する朝から日中は、交感神経が優位になって、人が休息する夕方から夜間は、副交感神経が優位になる、という大きなリズムです。

一方で、小刻みに変動するリズムもあります。

たとえば食事中は交感神経が優位になり、食後には副交感神経が優位になるというリズムです。また、緊張すれば交感神経が優位になり、ホッとすれば副交感神経が優位になるという小さな変動も頻繁に起こっています。

悪い疲れを感じるときは、自律神経のバランスが乱れている状態です。ただ、こうした自律神経のバランスは、生活と思考のあり方で変わってきます。

いいかえれば、思考をうまく働かせることで、自らコントロールでしていけるということです。このコントロール法を身に着けると、悪い疲れを引き起こさずにすむようになっていきます。しかも、日中に優れたパフォーマンスを発揮でき、快調に生活することもできるのです。

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自律神経は呼吸でコントロールできる

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