荒木村重の謀反に直面した織田信長は、宣教師と何を話していたのか? 『麒麟がくる』徹底分析
2021年01月30日 公開 2024年12月16日 更新
《全国にその名を轟かせる「名古屋おもてなし武将隊」。名古屋城に詰め、観光客をもてなす武将と足軽の10人組である。2009年11月、名古屋開府400年のPR大使として名古屋にゆかりの6人の武将と4人の足軽で名古屋おもてなし武将隊が結成、すでに10年以上にわたり活躍を続けている。
そのうちの一人、前田慶次氏は名古屋城検定に検定過去最高点で合格し同検定の名誉顧問を務め、日本城郭検定にも合格するなど歴史への造詣も深い。
前田慶次氏が自身のYouTubeチャンネル「前田慶次5分で戦国時代チャンネル」にてNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を徹底解説している。本稿ではその一部を紹介する》
※本稿はYouTubeチャンネル「前田慶次5分で戦国時代チャンネル」にて配信された内容を再構成したものです。
織田信長から周囲が離れていく…
「42回 離れゆく心」の放送では題目の通り、織田信長の周りの人間が、信長から心が離れていく様を描き「本能寺の変」の伏線を大きく張った45分と相成った。
多くの視聴者が想像する信長像に近づき、織田信長と明智光秀の関係が目に見えて悪化した。本能寺の変に行きつくまでに大事な場面や、ドラマにも描かれていない点を中心に此度も解説してまいろう。
荒木村重と中川清秀のやりとりはドラマでは描かれなかったが…
待望の初登場を果たした荒木村重。信長を裏切った大名。身内と家臣を捨てて逃げた、卑怯者としても名が知れ渡るが、後に「利休十哲」に数えられる茶人として名を馳せるという波乱万丈の人生を送る人物。
光秀の長女、お岸は荒木家に嫁いだとされ、明智家と縁戚関係にあった。それ故に、光秀は信長から説得役の命を受けた。実は、この説得に荒木村重は応じていたのじゃ。
信長に許しをもらうべく「安土城」へ向かう最中に家臣、中川清秀が「信長は一度裏切った人間を許すはずがない。いつか滅ぼされましょう」と村重に進言。これで荒木村重は気が変わり有岡城に戻ってしまう。これはドラマで描かれておらぬ場面であるが、それを匂わす演出が後に展開されていた。
宣教師と織田信長の会話に見えた高山右近の影
光秀が信長に謁見する前に、宣教師が信長に謁見をしていた。この場面は、荒木村重の一件に関わっていると儂は考える。この荒木村重の謀反騒動で外せぬ二人の人物、高山右近と中川清秀。
信長が右近を寝返らせる為に、イエズス会の宣教師達を説得に行かせた。右近はキリシタンであったため、信長が右近に友好的な人材をぶつけた結果、成功した。
それにともない、中川清秀も織田軍に下る。有岡城は徹底抗戦を見せて1年の籠城戦を繰り広げるが落城。荒木村重は逃げ落ちた。つまり、この有岡城攻めにおいて宣教師は重要人物。
信長と宣教師が「どうやって右近を寝返らせたのじゃ?」「信長様は神様を信じますか?」といった具合で話をしておった時に光秀が登場した場面であったというわけじゃ。