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インド料理店を開店して気づいた「日本とインドの違い」

塩谷サルフィマクスーダ

2021年05月13日 公開 2022年10月06日 更新

文化の不理解が誤解を生む

『ルビーナ』には、インドを中心にたくさんの国から多くのお客様が来店され、インド料理を通して幅広い国際交流が実現しています。

同時に、海外から来られたお客様の宿泊や、パーティーなどの開催のお手伝い、宿泊施設や国際交流団体からの食事の問い合わせにもアドバイスするまでになりました。

最近では、ハラルフードやアーユルヴェーダの健康食等が、クローズアップされていますが、私のコンセプトや国際交流が、本当に身近にご理解いただけるようになったことを実感しています。

ただ、現在でも『ルビーナ』にインド人や他国の留学生たちが来店し、いろいろな相談を受けますが、日本と外国の文化の違いからくる疑問をうまく指導してもらえず、不信感を持つこともあるようです。日本のライフスタイルのすべてがわからないといった状態です。

インドと日本の文化の違いを痛感した私にとっては、指導する立場と疑問を持つ学生双方の気持ちが理解できますので、文化の違いから説明することで学生たちは、自分の先生や教授との接し方のヒントをつかんでくれています。

このように文化の違いからくるちょっとした疑問に的確に応えられない場合でも、彼らにとって不信感につながりかねない危険を孕んでいます。この小さな疑問に適切に応えることが大切なのです。

 

憧れの国の天国と地獄

私の店で仕事をしているインド人シェフが私に、こう言いました。

「マダム、日本人は天国に行かなくてもいいですよね。だって家の中でスイッチが一つさえあれば、すべてコントロールできますよ。夏も冬も、暑い寒いなんていう心配もありません。手の中で冷たい風をあったかい風に変えることができます。インドみたいに停電もありません。

飲みに行けば、きれいな女性がお酒を注いでくれます。これは生きている天国に違いありません。インドならこれはすべて、生きている間にいいことをすれば、天国に行って初めて経験することばかりです。だから、僕は死んで天国に行くかどうかわからないから、日本で暮らすんです」

インド人にとって、日本は昔から非常に深い縁があり、憧れの国でもあります。第二次世界大戦では、日本はアメリカから批判されましたが、インドでは"独立の獅子"として最高の栄誉を与えられ、インドの独立に寄与したことは事実なのです。さらにインドは日本の女性教育を学びました。

でも、日本は天国ばかりではありませんでした。当初、店を経営しながら気づいたことは、たくさんの外国人の友だちが差別を受けているという実態でした。

アジアの人たちはよく、日本は国際化する前にアジア化する必要があると議論をしていました。日本はアジアの一部であるという認識が日本人には不足しており、不十分な情報は関係性を弱くすると感じたのでした。本当の意味で摩擦につながるのは、その根底にある偏見や疎外意識です。

日本のマスメディアは、日本人が否定的な印象しか持たないような、アジアからの違法労働者や歓楽街で働くフィリピンやタイの女性など、特定の事件に焦点を当てる傾向にあったのです。

今、時代の変化をつくづく感じますが、日本社会が少子高齢化となり、人手が足りないために国が様々な対策に取り組み、外国人労働者を呼び寄せることにしました。そのために、厳しい制度のあった入国管理局も今は変わろうとしています。

私は国際交流の事業に携わるうちに、インドだけでなく、フィリピン、台湾、タイなど、たくさんの外国人たちから相談を受けるようになりました。

留学生などはなかなかアパートが借りられず、チュニジアの人たちなどに対し、「あんたたちは木の上で寝ているのか」といった差別発言がまかり通っています。

フィリピンのある女性などは夫から毎日500円しかもらえず、子供もいるのにそれでは生活ができないと訴えると、「お前は物価の安いフィリピンから来ているから、これ以上のお金はやれない」といったような差別もありました。

 

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