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あらためて知りたい「認知症とは何か」...語られなかった当事者が見ている世界

筧裕介(issue+design 代表)、認知症未来共創ハブ

2021年11月02日 公開 2022年03月03日 更新

 

「認知症」とは、なにか?

認知症世界の旅を楽しむために、最低限覚えてもらいたいのは、これだけです。

認知症とは、「認知機能が働きにくくなったために、生活上の問題が生じ、暮らしづらくなっている状態」のこと。そして認知機能とは、「ある対象を目・耳・鼻・舌・肌などの感覚器官でとらえ、それが何であるかを解釈したり、思考・判断したり、計算や言語化したり、記憶に留めたりする働き」のことです。

例として、「わたしたちが外出先でトイレに入るまで」の過程を見てみましょう。

STEP1視覚での知覚
歩いて、目で探して、トイレのマークが目に入る
→「マークがある」

STEP2記憶の想起と解釈
とらえた情報と自分の記憶を照らし合わせ、解釈する
→「ここが男子トイレだ」

STEP3判断と実行
得た情報から、自分がどう行動するかを判断・実行する
→「よし入ろう」

ある行動に至るまでに、わたしたちはこうしたステップを一瞬で行っています。しかし、認知機能が働きにくくなると、この一連の過程がうまくいかなくなるのです。

 

たとえば、「お風呂を嫌がる」のはどうしてなのか?

「本人が、お風呂に入るのを嫌がって…」。介護をされる方から、よくお聞きする話です。見方によっては「介護への抵抗」と感じられる、その人の「お風呂に入りたくない理由」は1つではなく、実はその背景には、さまざまな認知機能のトラブルがあると考えられます。たとえば、

1.温度感覚のトラブルで、お湯が極度に熱く感じる
2.皮膚感覚のトラブルで、お湯をぬるっと不快に感じる
3.空間認識や身体機能のトラブルで、服の着脱が困難
4.時間認識や記憶のトラブルで、入浴したばかりだと思っている

単純に、家族に手間をかけさせたくないと思っている、という場合もあるでしょう。このように、お風呂という1つのシーンをとっても、その人が抱える心身機能障害(心と身体の不調・トラブル・誤作動)や生活習慣・住環境によって、なぜ・どんなことに困難を感じるのかは異なるのです。 つまり、認知症を「ひとくくり」にしない。それが、とても大切なことです。

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行動の「理由」を知ることが、本人も介護者もラクにする

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