不動産投資の初心者は、物件を購入する段階で苦戦してしまう。なぜなら、多くの人は新しくて綺麗な物件を探そうとするからだ。では一体どんな物件を買えばいいのだろうか。サラリーマンを続けながら不動産投資を始め、たった3年で10億円もの資産を築いた荒木陽介氏が極意を語る。
※本稿は、荒木陽介(著)『3年で10億円を築いたサラリーマンが教える 「お金を生む時間」のつくり方』(朝日新聞出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
学ぶべきは「購入、管理(賃貸経営)、売却」の3つ
不動産投資を始める際には、やはりある程度の「勉強」が必要です。
不動産業界には、特徴的な「共通言語」があります。たとえば、建物の面で言えば木造、鉄骨造、RC造とか、投資の面で言えば積算評価、収益評価とか、まずそういったキーワードを覚えることが大事でしょう。
また、学ぶべき事柄を大きく分けると「購入」「管理(賃貸経営)」「売却」という3つの分野になります。
たとえば購入に関しては、物件選びの基準づくりのために勉強する。もちろん、実際にいい物件を買うためには、座学だけではなかなか学べない仲介業者との付き合い方なども磨いていく必要があります。
物件の管理については、実際には管理会社にアウトソースするケースがほとんどなので、どういう指示を出して、うまく動かすかというところが勉強のポイントになります。
たとえば補修の際、複数の業者に相見積もりを取らず、安直に工事費の高い業者に発注する管理会社も少なくありません。家賃の設定や入居者募集にしても、「任せっきり」ではまずうまくいかないと考えて、的確な指示が出せるように、賃貸経営のノウハウをある程度学んでおく必要があるわけです。
とはいえ、決して難しい勉強ではありません。不動産実務検定にしても、基礎知識程度なら2級で十分なので少し勉強すれば大丈夫というレベルです。ちなみに私は1級の上、マスターまで取ったので、コンサルタントの資格を持っています。知識量は「宅地建物取引士(宅建)」と同程度などとも言われています。
全部を兼ね備えたぴかぴかの物件なんてない
そんな私だから不動産投資に成功している、と言いたいのではありません。ひととおり勉強してみて、詰まるところ不動産投資の成否は、立地をどう評価するか、建物をどう評価するか、賃貸需要をどう評価するか、物件を運営・運用する管理会社をどう動かすかという能力に集約されてくるということを、お伝えしたいのです。
要は、そうした能力を高め、いい物件に投資するために勉強が必要というだけの話です。それに役立たない勉強なら、わざわざ時間やお金をかける意味はないでしょう。
実際、私は最初の物件を3カ月コースの修了を待たず、不動産投資の塾に通って2カ月ほどで買っています。要するに勉強の目的は、あくまでもいい物件を買うことであって、不動産に関する知識を得ることではないのです。
私の背中を押してくれたのも、結局、こんなの講師との会話でした。
「性格がよくて、スタイルがよくて、顔が美人な女性って会ったことありますか?」
「いや、テレビの中でしか見たことないです」
「ですよね。もしそんな女性が目の前に現れたときに、あなたは射止められますか?」
「ちょっと難しいです」
「どうしてそう思うんですか?」
「ライバルがいっぱいいるし、私よりも素敵な男性がいるし、第一、そんな女性はもう誰かの彼女になっているでしょうから」
「そうですよね。不動産もそうなんです。そんな全部を兼ね備えたぴかぴかの物件なんてないんです。必ずどこか何かを諦めなきゃ、いつまで経っても買えませんよ」
私はなるほどと思いました。不動産投資では物件に完璧を求めず、現実的に自分が買える範囲で、利益が出る物件を見つけなければいけない。
たとえば、賃貸需要が弱いエリアの物件でも、実績十分の管理会社に任せられるなら買ったほうがいいのです。そこに家賃の値下げといった武器を渡したら、きっと満室にしてくれるでしょう。