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生き方

「なぜ、あなたは幸せになれないのか」人間関係に悩みやすい人の共通点

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2022年05月22日 公開 2024年12月16日 更新

日常生活の中で「もう頑張れない」「なんか辛いな」と思うことが起こったとしても、なかなか周囲に相談できず一人で抱え込んでしまうことはないだろうか。

中には、楽しいはずなのに「なぜか心が辛い」こう考えている人もいるかもしれない。

「よく人は人生に疲れたという。生きることに疲れたという。しかし人生に疲れたのではない。生きることに疲れたのではない。正確には憎しみを抑圧することに疲れたのである」

早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏は、著書『心の休ませ方「つらい時」をやり過ごす心理学』にて、このように記している。

その中から、辛い気持ちを和らげる方法について述べられた一節を紹介したい。

※本稿は、加藤諦三著『心の休ませ方「つらい時」をやり過ごす心理学』(PHP文庫)を一部抜粋・編集したものです。

 

心の底にある「憎しみ」に気づくこと

よく人は人生に疲れたという。生きることに疲れたという。しかし人生に疲れたのではない。生きることに疲れたのではない。正確には憎しみを抑圧することに疲れたのである。

あなたは真面目に生きてきた。しかし自分の憎しみの感情を吐き出すことはなかった。その憎しみの感情を吐き出すことができないで、内的緊張を強いられてきた。

心の底で思っていることを言わないことで人は消耗する。だから何もしない人がいつも疲れていたりするのである。

外側では何も見えないが、内面ではものすごい衝突が起きて、その衝突でエネルギーを消耗してしまう。思ったことをポンポンと言ってしまう人は、外側は動いているようで、じつは心は疲れない。

心の中でいつも衝突をしている人は、川の流れをいつもせき止めているようなものである。

思ったことをポンポンと言ってしまう人は、川の流れがスムースに流れている。だから疲れない。

あなたは心の底で人を憎みながらも、周囲にいい顔をしてきた。それが消耗の原因である。生産的な仕事にエネルギーを使わないで、心の中の衝突でエネルギーを消耗してしまった。

さらにもう一つ消耗する理由がある。それはその心の底の憎しみを周囲の人に気づかれまいとするからである。

自分の心の底の憎しみを周囲の人に気づかれまいとすることが自分の中に心理的な緊張感を生みだし、その緊張感がエネルギーを消耗する。

 

幸せの鍵は「人を信じること」

では、真面目な人がなぜ幸せになれないか。それは真面目な人が勘違いをしているからである。真面目な人は、真面目でありさえすれば幸せが手に入ると思っている。

それはデパートの前に開店前から並んでいれば商品をただでくれると思い込んでいるようなものである。

自分が開店前から並んでいるのに、後からきた人が商品を買っていくのを見て、「不公平だ」と嘆いているようなものである。

真面目でありさえすれば幸せになれると思って真面目でいても、いつまでたっても幸せにはなれない。

真面目でも人を信じられなければ幸せにはなれない。愛を信じられなければ幸せにはなれない。人と親しくなれなければ幸せにはなれない。

真面目でも人とコミュニケーションできなければ幸せにはなれない。

それらのことは心の底に憎しみがあったら無理である。心がふれあえなければ幸せにはなれない。真面目だけでは幸せにはなれない。

人は自分を出してしまったほうが愛される。しかし「適応した子供」は愛されるためにはお行儀よく振る舞うことだと思い込んでいる。

無理をしていない子供のほうが「子供らしい可愛さ」がある。そこで無理をしていない子供のほうが愛される。

それが素直さというものであろう。逆にいえば素直でなければ何をしても幸福にはなれない。

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「良い人」をやめる勇気

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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