まんが:Jam
人間は、喜怒哀楽をはじめ様々な感情を持っているが、同時に「怒りたくないのにイライラしてしまう」「ネガティブなことばかり考えてしまう」など、自分の感情をコントロールできずに苦しんでいる人も少なくないといいます。
自分の感情に振り回されてしまう時、「頭で考えていること(理性)と、心が感じていること(感情)は違う」ということに気がついていない人が多いそう。
本稿では、有川真由美著『まんがでわかる 感情の整理ができる人は、うまくいく』の中から、感情を上手に整理し手懐ける方法について書かれた一節を紹介します。
※本記事は有川真由美著『まんがでわかる 感情の整理ができる人は、うまくいく』(PHP文庫)の一部を抜粋、編集したものです。
「感情はパートナー」と思って付き合う
仏教の『法句経』には「怒りは馬車で、馬車の手綱を握っているのは人。制御することなく感情のままに生きている人は、たんに手綱をもっているだけで、人生の勝利者ではない」というような意味の記述があります。
馬は、感情のままに振る舞おうとします。気分よく、調子がいいときはいいけれど、怖いものがあったら、立ち止まろうとするし、怒って別の方向に走り出すかもしれません。天気や体調がよくなかったり、なにか満たされない状態では、イライラしやすくなり、やる気をなくして、動こうとしないこともあるでしょう。
無理に走らせようとすると、反抗して悲鳴をあげてしまいます。とはいえ、「感情」という馬車に手綱を預けた状態では、私たちは振り回されて、自分が望んだ場所にたどり着けなくなります。ここは、「理性」という御ぎよ者しやの腕の見せどころです。
子どもや動物であれば、「激しい気性だから、すぐに怒る」ということがあるでしょうが、大人の感情には、その人の考え方、価値観が反映されます。「悲観視するか楽観視するか」という考え方のクセや、「危機的な状況でどう反応してきたか」という行動のクセが、感情の質を決めていきます。
感情はパートナー。アクセルにも、ブレーキにもなります。自分の感情を認め、喜ばせたり、勇気づけたりしつつ、愛情をもってうまく付き合っていくことです。
まずは行動を変えてみることから
男性が忘れられない女性とは「お金を使わされた女」だといわれます。
「ご馳走して」「これ、買って」と甘えられ、たくさんのお金を使っていると(行動すると)、男性は、「それほどオレは、この女が好きなんだ」という気になってくるとか。
「そんなにおごってくれなくてもいいです」「ワリカンにしましょう」と言うばかりの女性には、なんとなく気持ちが入り込みません。「行動」することによって、「感情」はあとからついてくるのです。「言葉」をポジティブな言葉に変えてみるのも、有効な方法です。
嫌いな人に、「私、○○さんのそういうところ、好きだなぁ」と直接、言ってみると、なんとなくそんな気分になってきます。
そして、「考え方」を変えるというのは、いまとらわれているネガティブな考え方を、自分の都合のいいように解釈することです。
たとえば、朝、出がけにコーヒーカップを割ってしまったとします。それを、「不吉だわ。なにか悪いことが起きなきゃいいけど」と不安になるか、「気をつけろってサインかも。最近、慌あわただしかったから、落ち着いて行動しよう」と考えるか。「行動」「言葉」「考え方」を変えれば、自然と新しい感情に"上書き"ができていきます。
自分が本当に望んでいることは何か...
どれだけ感情を切り替える行動をとっても、時間をおいても、「やっぱりダメ」「どうしても、引きずってしまう」ということは、だれもが経験したことがあるでしょう。布団にうつ伏せになって、「いやだー!」「許せなーい!」と手足をバタバタしたくなる心境......。
こんなときは、「考え方」を変えるしかありません。 信頼していた人に、陰口を言われていたことがわかったとします。しかも、自分の秘密までばらされていたとしたら、多くの人は怒るでしょう。「彼女を信じていたのに」「彼女のせいで、みんなの私を見る目が変わった」と、ムカムカとした怒りがわいてきます。怒りは、「防衛の一種」といいますが、怒りが長引くようなら、同僚への防衛が、まだ終了していないのでしょう。
そんなときは、こんな質問を自分にしてみてください。「私が本当に望んでいることはなにか?」「謝ってもらいたい」と望んでいる人は、それを伝えたらいいでしょう。「私はとても傷ついた。だから、あなたに謝ってほしい」というように。「あんな人とは、もう付き合いたくない」というのであれば、付き合わなければいいのです。用事や仕事などで連絡する必要があれば、ごく普通に接しましょう。
「前のように仲良くしたい」というなら、うまく付き合う方法を考えることです。
どんな望みであれ、感情が収まる方向に、一歩足を進めるのです。 心に突き刺さった矢は、自分で引き抜くしかありません。 もうひとつ。「~したのに」「~のせいで」と思う代わりに、「おかげさまで~」と考えてはいかがでしょう。「おかげさまで、簡単に秘密を言っちゃいけないことがわかった」「おかげさまで、人間関係を学んだ」というように。すべては「いい経験になった」ということもできます。
どんな事象のなかにも、「おかげさま」が潜んでいます。ひとつだけでも、自分にとってプラスになること、利用できることを見つけて、あとは太っ腹になって目をつぶるのです。 起こった出来事を肯定的に処理することで、怒りも整理されてきます。
それでもやはり、怒りが残るときは、心にチクリと残る痛みと、共存していく覚悟をもつしかありません。時間が経た って風化したとき、自分の状態がよくなって結果オーライになったときに初めて、心から相手を許せるのではないでしょうか。
シンプルに「なにをすればいいか」だけを考える
感情の整理ができない人は、ものごとを拡大し、複雑に考えてしまう傾向があります。 問題を整理しましょう。
まず、いま抱えている問題は、「相手の問題」か「自分の問題」かということ。 他人のことでイライラしているのであれば、考えてどうにかなる問題ではありません。「あの人の、あそこが気になる」「あんな言い方はしなくていいじゃないの」「あの言動は許せない」などと思っても、人は変えられるものではないでしょう。
もし、お願いしてどうにかなる問題であればいいのですが、ほとんどの場合、「しょうがない」とあきらめてさっさと切り替えたほうが賢明です。
自分のことでイライラしている場合は、「なにをするべきか」をシンプルに考えて、解決していくのみ。「これからは、こう行動しよう」と単純に考えれば、何度、失敗しても、また立ち上がって、進んでいくことができるのです。
問題があったら、「いま、なにをすればいいか」だけで、余計なことは考えない。目的を達成するために、シンプルに考えるという解決法をわかっておくと、頭が混乱したときにやるべきことも、感情も整理できてきます。 考えすぎは、よくないのです。
「問題解決」と「感情」を切り分ける
問題解決をするためには、ネガティブな感情は不要。感情の整理ができない人は、どうしてもごっちゃになり、同じ次元で考えるクセがあるのです。 つまり、問題解決に感情がくっついてきてしまう......ということ。
人間ですから、感情に振り回されることはありますが、「私ってどうしてこうなの?」と、不毛な感情をだらだらと引きずってしまうと、さらなる不運を招いてしまいます。問題解決には、いったん感情を切り離して、「どうしたらいいか」と問題だけにフォーカスすること。そして、やるべきことをやったらよしとすることです。
仕事も生活も、人間関係も、つまるところ感情の問題。自分の気持ちをどう元気にするか。うまくいかなかったら、感情をどう立て直すか、ということに尽きます。「そうはいっても、そんなに簡単に感情を切り離せない」という人もいるでしょう。
わかります。たとえば仕事のトラブルは、「だれの責任なのか」「対処できるのか」など、さまざまな感情が混ざり合って、問題が見えにくくなることがあります。
そんなときは「どんな結果に落ち着いたらいいのか」という目標をはっきりさせると、解決の方向が見え、感情も整理されてきます。いつも感情をすっぱり切り放せるわけではありませんが、「問題解決と感情を分ける」という心がけ次第で、問題が解決する時間と、感情が回復する時間は、ぐっと短縮されるはずです。