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衣服部門がきっかけ? 「無印良品のレトルトカレー」人気の裏側

長田英知(良品計画執行役員)

2022年10月13日 公開 2024年12月16日 更新

衣服や生活雑貨、食品など様々な商品を取り揃え、高い人気と根強いファンを抱える無印良品。本記事では、良品計画の役員である長田英知氏が、店舗を訪れているだけではなかなかわからない「あの人気商品の裏側」について紹介する。

 

良品計画の「裏側」から見えた人気のひみつ

私が良品計画に入社したのは2022年4月とつい最近のことになります。入社する前も無印良品の1ファンとして様々な商品を愛用していましたが、実際に会社に入って1つの製品が世に出されるまでの話を聞くと、それらの商品に対する見方が180度変わりました。

そこで、世の中にはあまり知られていない良品計画の商品開発の裏側を、皆様にこっそりご紹介したいと思います。企業等で商品開発を手掛けていらっしゃる方々にとっても何らかのヒントになれば幸いです。

 

カレーの商品化は衣服部門からの要望だった?

今回ご紹介したいのが、「レトルトカレー」です。無印良品で購入する商品として、真っ先にレトルトカレーをイメージされる方も多いのではないでしょうか。

無印良品のレトルトカレーは現場の味を本格的に再現しているのが特徴で、日本に住まれているインド人の方にカレーを食べてもらう企画などを行ったときには、「お母さんの味だ」と言われるほどです。

なおレトルトカレーが商品としてラインアップされたのは、つい最近のことと思われている方も多くいらっしゃると思います。しかし無印良品がレトルトカレーの販売を始めたのは意外に古く、最初の商品であるビーフカレーが発売されたのは1990年代でした。

もっとも当時の商品は日本人にすでに馴染みのあった日本風カレーに味を調整していて、現在のものとは大きく異なっていました。

ではそこからなぜ、現地の味を再現したカレーを開発しようということになったのでしょうか。当時、食品部では "世界の食文化に学ぶ"というコンセプトのもと、本格的なスパイスを使ったエスニックなカレーに着目していたのですが、その商品化を後押ししたのはなんと衣服部門でした。

無印良品の衣服部門のメンバーは、最適な素材を求めて世界中を旅しています。そんな彼らがインドやタイなどのアジア地域を回った際、現地で食べたカレーが日本のものとまるで異なり、またあまりにも美味しかったため、「こういうカレーがうちの商品としてあったらいいなあ」と思っていたそうなのです。

 

現地の味再現に対するこだわり

こうして始まったエスニックなカレーの商品開発ですが、開発にあたって一番こだわった部分は日本人の味覚に合わせた商品を作るのではなく、現地の味を再現したものを作るということでした。そこでまず大事にしたのが、原材料の厳選です。

カレーはスパイスが味の決め手となるため、協力工場の方と一緒に現地に行って様々なスパイスを試し、集めていきました。またいわゆる化学調味料は味が決まりすぎるため、スパイスや素材のおいしさを引き立たせるため使わないこととしました。

もう1つ大きくこだわったのが、現地のカレーの作り方を工場でも再現するということです。当時、日本の工場で作られていたカレーは、あらかじめ複数のスパイスを調合したカレー粉を使っていました。

しかし現地の家庭やレストランではカレー粉を使わず、それぞれのスパイスを調理の適切なタイミングで順番に入れることでおいしさを引き出していました。

そこで無印良品では協力工場にお願いして、単体のスパイスを適切なタイミングで入れるという現地の作り方を工場で再現してもらうようにお願いしました。これらの苦労の結果、2002年にグリーンカレーが誕生し、ここから多様な地域のエスニックカレーの開発が始まったのです。

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常に改良していく姿勢...バターチキンの苦闘

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