「聞き上手」になれば距離が縮まる
言語学の用語に、「リポートトーク」と「ラポールトーク」という言葉があります。このうち、「リポートトーク」は、商品の特徴とか売り上げの実績などを淡々と説明する話し方です。
テレビやラジオを見聞きしていますと、国会や事件現場などから、報道記者が中継リポートをする場面に出くわしますが、これも事実を正確に伝え、客観的に状況を説明する、文字通り「リポートトーク」になります。
一方の「ラポールトーク」は、相手の情緒や感情に働きかけるような話し方を指します。「ラポール」は、フランス語で「関係、つながり」という意味がありますが、自分と相手との間に親密さや共感を作り出す話し方です。
テレビやラジオの番組に置き換えれば、事実を淡々と伝える記者に対して、「これは困ったことになりましたねえ」とか「この発言は許せませんね」など、感情を交えながら話すキャスターやコメンテーターのような話し方になります。
相手との距離を縮めるには、聞き上手になることです。
相手の話を積極的に聞こうとする姿勢を「傾聴」といいますが、この「傾聴」の達人になるコツが、「リポートトーク」と「ラポールトーク」を組み合わせて使うということです。
【2つを組み合わせて「聞き上手」になる表現例】
自分「先週、三丁目にカレーの店がオープンしたんです。カレーはお好きですか?」
相手「好きです」
自分「私もカレーは大好きなんですが、どんなカレーがお好きですか?」
相手「大きめの野菜がたくさん入っているのがいいですね」
自分「いいですね。私も好きですね。そのお店、評判が良いらしいので行ってみませんか?」
このように、新しいお店がオープンしたという事実と、相手の話に共感を示すという組み合わせができれば会話は弾みます。
もう1つ、相手の話を聞くうえで大切なのは姿勢です。近頃では、中年世代の大人でも、話の最中にスマートフォンを気にするような人がいますが、これはNG。
穏やかな顔を意識して相手と向き合い、視線を相手の左右の目と口を結ぶ三角形のあたりに向け、少し体を前に乗り出すような形で臨むといいでしょう。