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「業績評価が低くても、やる気のある部下」はどんな環境で生まれるのか?

前川孝雄(株式会社FeelWorks代表取締役)

2023年06月16日 公開 2024年12月16日 更新

「業績評価が低くても、やる気のある部下」はどんな環境で生まれるのか?

仕事をどんなに頑張っても、業績が伴わないケースは往々にしてあるものだ。そんな時でも、部下にモチベーションを失わずに働き続けてもらうにはどうしたら良いのか。前川孝雄氏はそのカギが、「部下とのコミュニケーションの取り方」にあると語る。

※本稿は、前川孝雄著『部下全員が活躍する上司力5つのステップ』(株式会社FeelWorks)より一部抜粋・編集したものです。

 

節目ごとの評価に納得を得て、次なる成長をサポート

支援型マネジメントのステップとして、ここまでに、部下との信頼関係づくり、組織目的の共有と仕事の付与、チーム作りと改革・改善の自律的な実行促進などを取り上げました。これらに加え上司が行うべきは、評価しフィードバックをして部下を育成することです。

この役割を果たす上で理解しておくべきは、評価とは一時の断面図に過ぎないことです。仕事とは半期や一年で終わるものではありません。会社の目的(=企業理念)やチームの目的は、長期的な視野で達成を目指すものです。

確かに、上司による部下の評価は、半期や一年の区切りで行わざるをえません。ただし、期ごとの評価は長期的な仕事や部下の長いキャリアの1つの断面図にしか過ぎないと捉えることです。

若かりし頃や、初めての仕事に取り組む際は失敗の連続でも、後々仕事のできるプロやリーダーになる例はいくらでもあるのです。上司のあなた自身も、そうではありませんか。

 

部下の評価に上司がいかに関わるかが重要

私が前職でITエンジニアのキャリア支援サイトの編集長だった時に、現場で働く人たちに取材を続ける中で、仕事の評価に関わる印象深い体験がありました。

業績評価とモチベーションは、単純な相関関係にあるのではないことを知ったのです。業績評価が良く、ボーナスも増え、昇進の可能性も高いのに、あまりモチベーションが上がらない人たちがいる一方、業績評価は芳しくないのに、やる気に満ちあふれている人たちがいたのです。

インタビュー対象のITエンジニアの共通点は、クライアント企業に常駐して仕事をすることが多く、上司と職場が一緒ではないことです。日常的に上司に仕事ぶりを見てもらうことがなく、評価は自分が担うシステム開発業務の節目の結果によるケースが多いのです。

そして、上司から高評価を受けた人でも「高い評価は、たまたま業務の節目で高いパフォーマンスが出ただけ」「プロセスを見ず結果だけの評価は、あまり嬉しくない」と言うのです。一方、業績評価が低いのにやる気に満ちあふれたITエンジニアたちの典型的な声は、次のようなものでした。

「確かに今期の評価は非常に厳しく、昇給・昇格も難しい。でも自分が考えたやり方の結果だし、常々、上司とよくコミュニケーションも取れている。約束した目標に届かなかったのは事実なので、評価は納得している。その上で、この学びを来期にどう活かすか上司としっかり話し合ったので、来期は挽回したい。」

すなわち、重要なことは評価の内容以上に、いかに評価に至るプロセスに納得を得られるか、言い換えれば、評価の前後に上司が部下にいかに関わるかだったのです。

 

評価が良くても悪くても受け入れてもらうには

以上の例から分かるのは、良い評価であれ悪い評価であれ、「長期的な部下の成長」の視点から下したもので、それが部下に伝わるなら、部下は納得するということです。

重要なのは、長期的な視野で「現時点の評価を踏まえ、今後どうするか」を上司と部下が共に考えることです。そして「上司=支援者、伴走者」であることを部下に理解してもらえたなら、厳しい評価を伝えること自体を気に病む必要は全くないのです。

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重要なのは期初の役割設定

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