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生き方

引きずるイヤな感情を「脳の仕組み」を利用して忘れる方法

和田秀樹(精神科医)

2022年07月15日 公開

引きずるイヤな感情を「脳の仕組み」を利用して忘れる方法

すぐに不安になってしまう、一度落ち込んだら引きずってしまう...そんな悩みを抱えている人がいます。どうすれば感情に支配されず、コントロールすることが出来るのでしょうか。精神科医の和田秀樹氏が解説します。

※本稿は、和田秀樹著『感情的にならない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。

 

マイナス感情は成長の原動力

「職場の同期が出世したと聞いて、嫉妬する気持ちがわいてしまった」「このままずっと独身で生きていくのかと思ったら、急に寂しくなってしまった」

このように、私たちはなんらかの出来事に直面して、嫉妬や不安といったマイナスの感情を持つことがあります。前項でお話ししたように、たとえマイナスの感情であっても感情を持つこと自体が悪いわけではありません。

実は、マイナスの感情は人間を成長させる原動力ともなるからです。不安という感情を例に考えてみましょう。

私は大学受験生の悩みを聞く機会がしばしばあります。ある受験生は、「一生懸命勉強しても合格できるのか不安で仕方がありません」という悩みを抱えていました。それに対して、私は次のように答えました。

「不安になることは決して悪いことじゃないよ。もし君が不安を持っていなかったら、そもそも勉強しようと思わないよね。だから、不安を取り除こうとするのではなくて、むしろ不安という感情を、勉強するための材料とすべきだよ」

人は不安だからこそ将来のために頑張って勉強したり、負けて悔しいからこそ友だちを見返すために努力して出世したりできます。つまり、感情は動機づけの材料にできるのです。

 

感情に支配される人、されない人

マイナス感情をバネに奮起するというのは、決して悪いことではありません。しかし、マイナス感情をコントロールできない人が多いのも事実です。

「不合格になるかもしれないと不安に思うばかりで、勉強が手につかなくなっている」
「試験会場でパニックのあまり問題を解くことができない」

──これは感情に支配されているということです。

感情に支配されていると、建設的なことができずに、人生が思うようにいかなくなります。逆に、感情をコントロールしている人は、建設的に行動できるので、仕事や私生活を充実させることができるのです。

感情に支配されそうになっている人は、早くそこから脱出する必要があるのです。

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いつまでも落ち込んでいるのは過去の自分のせい?

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