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この著者に会いたい(聞き手:仲俣曉生)『7割は課長にさえなれません』

城繁幸(joe’s Labo代表取締役)

2011年01月24日 公開 2024年12月16日 更新

7割は課長にさえなれない
※画像はイメージです

なぜ3部作になったのか

【中俣】城繁幸さんは富士通の人事部門に在職していたときの体験をもとに、年功序列を温存したままの安易な成果主義の導入に警鐘を鳴らした著作で論壇にデビューした、雇用問題の専門家です。

その後、2006年にお出しになった『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は、いわゆる「俗流若者論」に対する反論の書として、大いに話題になりました。今回の『7割は課長にさえなれません――終身雇用の終焉』は『若者はなぜ~』と、その続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』を受けた「3部作」最終巻という位置づけだそうですね。

【城】はい。自分としては、2冊目の本でもう十分だと思ってたんですよ。当時は優秀層の雇用が流動化することによって、日本の社会が大きく変わると期待していました。ところが、雇用の流動化は多少起きたものの、社会が大きく変わるところまでは行っていない。「俺は転職できるから大丈夫」という優秀層の人だけでなく、世の中の大半を構成する中流階層が動かないことには、どうしようもない部分があることに気づいたんです。

【中俣】今回の本には、過去2冊と違って、タイトルに「若者」という言葉が入っていませんね。

【城】「若者」という言葉をあえて外したのは、できれば若者以外の人も感情移入してほしいと思ったからなんです。1冊目の本は、「日本の雇用にはこういう病気がありますよ」という「健康診断」のつもりで書きました。ここでいう「病気」とは、一言でいえば「年功序列」です。続く2冊目の本は、この病気に対する具体的な「処方箋」として書いたつもりです。ただし万病に効く処方箋はないので、『3年で辞めた~』は「こういったケースがありますよ」という個別事例のオムニバスにしました。

『3年で辞めた~』には思いのほか反響が多くて、たくさんの方から手紙や電子メールをいただいた。でも、そのなかには「この本を読んだおかげで、こういうふうに成功しました」といってくる人はほとんどいなかった。すでに成功してる人が僕の本を読んで、「自分で人生の舵を握っていることを肯定してくれて嬉しい」と書いてくる人ばかりだったんです。

【中俣】本で紹介されている事例に、自分自身の姿を重ねた人たちですね。

【城】そうなんです。自分自身の力で世の中を切り開いていける人のことを僕は「アウトサイダー」と呼んでいますが、いまの時代に「アウトサイダー」でいられる人はある程度、すでに成功しているといっていい。だから彼らには処方箋は必要ないんです。

でも、世の中にはそれ以外にも、「健康診断」には引っ掛かるけど、独力では「病気」を克服できない人たちがたくさんいます。これまでの2冊だけだと、その人たちがそっくり抜け落ちてしまう。

そういう人たちに対しても、じつは「処方箋」はありうるんですよ。ただし、その「処方箋」を生かすには、彼ら自身が気づいて社会を変えようとしなきゃいけない。今回の本は大げさにいえば、社会が本当に改革できるかどうか、という実験だと思ってるんです。
 

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「課長」という役職の変遷

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