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素直に謝れない人がわかっていない、すぐに謝罪することのメリット

塚本亮(株式会社トモニツクル京都山城代表取締役)

2024年06月10日 公開 2024年12月16日 更新

素直に謝れない人がわかっていない、すぐに謝罪することのメリット

会社でもプライベートにおいても、多くの人の悩みの種になっているのは「人間関係」です。周囲の人とのトラブルは、生産性の低下や精神的なストレスを引き起こします。円滑なコミュニケーションを維持するには? 塚本亮さんが語ります。

※本稿は塚本亮著『要領よく成果を出す人は、「これ」しかやらない(PHP研究所)より、一部を抜粋編集したものです。

 

人に期待しないから、振り回されない

私たちが、頭を抱え、多くの労力が割かれるのは「人間関係」の調整です。面倒くさいことこのうえないですが、仲間や友人がいなければ仕事もプライベートも充実しないのもまた事実。要領のいい人は、どんな人間関係を心掛けているのでしょうか?

 

・「見返りを求める心」の正体

私たちは多くの人との関わり合いのなかで仕事や生活をしています。その分、嬉しいこともあれば、悲しくなる出来事も少なくありません。なかには、怒りを感じたり、失望することもあるでしょう。

そうした感情は、たいてい「他人への期待」から生じます。「部下が思い通りに動いてくれない」
「これだけやってあげたのに、報われない」自分が働きかけた相手から、私たちは、しばしば行動に対する見返りを期待してしまいます。その見返りが得られないから、怒りや失望といった感情が生まれるのです。

この見返りの正体とは、あなた自身の「満足感」です。「部下に期待通りに動いてもらうことで、自分の有能感を味わいたい」「『ありがとう』と言ってもらって、自分が役に立っていると思いたかった」つまり、この行為は相手のためだけではないのです。すると、感謝やお返しがない場合、後悔や怒りといったネガティブな感情にとらわれてしまうのです。

なお、「見返りを求めてしまう心」は、人として当然の気持ちです。ただ、この感情が行きすぎると、人間関係を「損か得か」で判断するようになるため、誰かに期待しすぎてしまうのも、考えものでしょう。

 

・「好きでやっている」くらいが、丁度いい

他人の反応に振り回されずに生きるためには、「自分の行動と、他人がそれをどう受け取るか」を分けて考えることが大切です。

自分が他人に働きかけた行動は、それ自体に価値があり、素晴らしいものです。しかし、その行動が他人にどう影響するかは別の問題なのです。お笑い芸人の明石家さんま氏は、次のように言っています。

「好きだからやってるだけよ、で終わっといたほうがええね。これが報われるんだと思うとよくない。こんだけ努力してるのに何でってなると腹が立つやろ。人は見返り求めるとろくなことないからね。見返りなしでできる人が一番素敵な人やね」

この言葉には、深い真理が込められています。

「好きだからやっているだけ」という姿勢でいると、相手の反応に振り回されるこないからです。
このような考え方は、要領のいい人に多く見られる傾向です。人間関係においては、自分の行動が報われるかどうかを重視していないのです。

彼らは自分の心が向かうまま、自分がいいと思うことを行うので、実にあっさりしています。だからこそ、後から評価や成功がついてくるのでしょう。誰かにやってあげた行為に裏表がなく、自然体だからです。

失望は、望みがあるからこそ生まれます。この事実を客観的に捉えると、軽くネガティブになることはあっても、以前よりも他人に対して穏やかな心持ちになれるのではないでしょうか。

 

「迅速な謝罪」の価値を知っていますか?

さまざまな価値観を持った人々が一緒に活動するなかで、すれ違いや勘違い、過ちが生じることは自然なことです。そんなとき、素直に謝ることができれば、人間関係を円滑にできます。

 

・要領のいい人は、つまらないプライドにこだわらない

要領のいい人は、自分に非があれば1秒で謝ります。間違いに気づいた時点で、迅速に謝罪することで、トラブルを初期消火するのです。謝り方もスマートです。言い訳はしません。問題を他人や何かのせいにすることで、その瞬間に自分の評価を下げることを知っているからです。

余計な言い訳はせず、「自分には何ができたか、何をすべきだったのか」に焦点を当て、反省の弁を述べます。これで、自分の好印象を保つことができるのです。

しかし、「謝ったら負け」とばかりに、どうしても頭を下げられない人がいます。謝罪を先延ばしにすると、問題はさらに複雑化し、解決が難しくなるばかりか、人間関係にも悪影響を及ぼすのは、言わずもがなでしょう。

そのため、過ちを認める勇気を持ち、適切なタイミングで謝ることは、ビジネスシーンで重要なスキルの1つと言えます。もちろん、好きで謝る人などいないでしょう。謝罪した途端、居丈高にマウントを取ってくる人もいます。イラっとするところですが、要領のいい人はつまらないプライドにこだわりません。自分のプライドよりも相手の顔を立てることを優先するからです。

どうしても、頭を下げるのがイヤな人は、1つ「相手に花を持たせてあげた」と考えてみてはいかがでしょうか。

 

・謝罪は、信頼関係を築くチャンスとなり得る

謝罪は誰にとってもイヤなものですが、要領のいい人はそこで発想を変えます。謝罪を恥や失敗として捉えるのではなく、信頼を再構築し、関係をより強固にする手段と捉えるのです。過ちから学び、その経験を次に活かす方法を模索する姿勢を示すことにより、個人としてもプロフェッショナルとしても成長を遂げる姿を印象づけます。

謝罪は、過ちを認める行為を超えた「人としての器」を測る意味を持つのです。それは、自分自身がどのように改善し、成長していけるかを常に考える姿勢を相手に示すものであり、問題解決に向けて建設的なステップを踏む意志があることが伝わります。

実際に、他人や環境のせいにすると、そこで思考が止まり、成長の機会を逃してしまいます。しかし、起こったことを自分の責任として受け止めることができれば、不思議と心が軽くなるものです。実際に、成功している人たちは、謝罪をすることで自身の誠実さと責任感を示し、信頼関係を築きます。

謝罪は単に過ちを認める行為以上のものであり、相手に対する敬意と、問題を解決して前に進むための意志を示すものでもあるのです。

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