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専用の目薬を使わないと角膜が危うい? 専門家が教える「コンタクトの正しい扱い方」

吉田忠史(株式会社パレンテ代表取締役),河内敏(監修/眼科医)

2024年12月17日 公開

専用の目薬を使わないと角膜が危うい? 専門家が教える「コンタクトの正しい扱い方」

目がしょぼしょぼしていて、パソコンを打つのがしんどい。資料が見えづらくて、読んでいても情報がすっと入ってこない。「よく見えない」ことは、仕事の効率低下に結びつくこともしばしばです。

コンタクトで視力を矯正したとしても、そのコンタクトの選び方1つで、見え方も随分と変わってきます。そこで、ここではコンタクトレンズECサイト「レンズアップル」の運営している吉田忠史氏の著書『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』から、仕事の効率を下げないためのコンタクトの使い方をお教えします。

※本稿は、吉田忠史著『いつも使っているコンタクトレンズのことを、あなたはほとんど知らないかもしれない あなたの大切な目を守る40の方法』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

自分に合うコンタクトを選ぶためのたった1つの方法

コンタクトを通して「見える」をサポートし、日々の生活をより快適なものに、というのが私の願いです。

たとえば、今あなたが行っているように文章を読んで情報を得るときでも、パソコンを打ったり、メモをとったり、情報をアウトプットするときでも、目は、仕事をするうえで、非常に大きな役割を果たしています。

また、目から入ってくる情報は、脳に伝達されて処理されます。この処理は、情報を記憶に結び付けるための基盤となります。

そのため、よく見えるということは、視覚情報を正確に処理し、記憶形成に役立つ可能性があります。ちなみに、視力のよい人はそうでない人に比べて認知機能が高いというデータもあるそうです。

そして、視力以外にももう1つ、眼精疲労も作業効率に影響を与えているといわれています。実際、夕方になってくると目がかすんできて、資料を読んでいても情報が頭の中に入ってこない、集中力が続かないといった経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。そして、コンタクトの度数が強すぎると、必要以上に眼精疲労はたまるものです。

つまり、よく見えるコンタクト、自分の視力にぴったりのものをしっかりと選ぶことは、仕事や学業などのパフォーマンスを上げることに、大きく役立つというわけです。

では、よく見えるコンタクトを選ぶためにはどうすればよいのか。1つは、買いに行くときは、昼間に買いにいくということです。

目は、朝起きたときから時間が経つほど疲れが蓄積されていきます。その影響で調節力が弱まる可能性があるため、できるだけ本来の調節力が発揮できる時間に視力検査をするのがベストです。

たとえ、午前中に検査を行ったとしても、その直前までスマホを見ていたのでは意味がありません。疲れ目で検査をすると、元の視力を出すことができずに度数の強いコンタクトを処方されてしまいます。疲れ目は、視力検査の天敵なのです。徹夜明けなど、睡眠不足で検査に行くことも避けるようにしたほうがよいでしょう。

 

ハイスペック素材「シリコーンハイドロゲル」は何が違う?

もう1つが素材です。ドライアイや充血しやすい方、コンタクトを毎日長時間装着する方、お仕事でパソコンをよく使う方などは、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトを使うことをお勧めします。

今のソフトコンタクトの種類は大きく分けて、水分を含ませるとやわらかくなる「HEMAハイドロゲル素材」と、水分が蒸発しにくい「シリコーンハイドロゲル素材」の2種類があります。

お笑いやK-POP界のように世代で分けるとしたら、十数年前までの酸素透過性の低いソフトコンタクトが「第1世代」、HEMAハイドロゲル素材が「第2世代」、シリコーンハイドロゲル素材が「第3世代」といったところでしょうか。

一体何が違うのかというと、第2世代のHEMAハイドロゲル素材は、水を多く含み、やわらかくつけ心地がよい一方で、涙まで吸収するので乾きやすく酸素透過率が低いという難点があります。

一方で、第3世代のシリコーンハイドロゲル素材は、こうした欠点を補うために開発されたコンタクトです。HEMAハイドロゲル素材のものよりも値段は上がりますが、目に優しいコンタクトなので、「ハイスペックコンタクト」と呼ばれています。レンズの特徴としては、主に次のような点があります。

・酸素透過率が高い
・乾燥しにくい
・形が崩れにくい

シリコーンハイドロゲル素材は、何といっても酸素透過率が違います。従来のハイドロゲル素材はレンズの水分を介して目に酸素を取り込んでいました。

一方で、シリコーンハイドロゲル素材は、素材そのものがたくさんの酸素を通すため、従来のものに比べて約5倍の酸素透過率があります。コンタクト装着時でも裸眼の状態に近いとされているため、視力の低下につながるといわれる角膜内皮細胞の減少も抑制できるといわれているのです。

シリコーンハイドロゲル素材のすごさは、酸素透過率だけではありません。取り込んだ水分をキープするため、長時間つけていても乾燥を感じにくく、ドライアイのリスクも抑えられます。さらに、形が崩れにくく、脱着や洗浄もスムーズで、正しいケアができるという利点もあります。近年ではレンズの硬さを解消した目に優しいつけ心地の高含水のシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトも登場しました。

これぞ、まさにハイスペック!ハイスぺックコンタクトが、あなたの人生を豊かにしてくれるかもしれません。

 

会社の休憩中、お昼寝する場合

装用時間(ソフトコンタクトの場合は12時間、ハードコンタクトの場合は15時間)をきちんと守ることはもちろんのこと、会社のデスクなどでお昼休みに少しだけ寝たいときも、コンタクトははずしたほうがよいでしょう。

たとえほんの少しの時間でも寝ている間は目が乾燥して傷がつきやすくなりますし、傷から菌が入って感染症という可能性も高まります。1dayタイプは新しいものに替え、2weekタイプなどは保存液に入れ、洗浄してから使用しましょう。

 

乾き目解消、効果的な目薬の使い方

また、目が疲れた、乾いたと感じたときは目薬を使うのも効果的です。目にうるおいを与えて乾燥を防いだり、コンタクトのゴロゴロ感、疲れ目などの対策だったり、目薬を容量用法を守って、定期的に使うことは、より目に優しい快適なコンタクトライフの実現をサポートしてくれるはずです。

そこで、目薬とコンタクトについて専門医にいろいろ聞いてみたので、ここでまとめさせていただきます。まずお伝えしたいのは、コンタクトを装着しているときにさす目薬は、必ずコンタクト専用のものを使用してください、ということです。一般的な目薬には防腐剤を使用しているものも多くありますが、その一方コンタクト用の目薬は防腐剤フリーの場合が多いのです。

専用のものを使用しなかった場合のことも専門医に聞いたところ、2weekタイプのコンタクトを装着しながらその目薬を使い続けた場合、コンタクト内で防腐剤の濃度が上がり、角膜が溶けるなどの危険性があるのだとか。コンタクトはスポンジのような性質を持っているので、成分を吸収して常に目に影響を与えてしまうようなのです。

また、コンタクト専用の目薬の多くは、涙の代わりとして乾きから目を守る目的がほとんどなのに対して、通常の目薬は何かの症状に対しての有効成分が含まれています。それがコンタクト自体に影響を及ぼす可能性もあります。

もし、コンタクト専用ではない目薬をする場合には、コンタクトを装着していない状態でさして、5〜10分おいてコンタクトを装着するといいとのことです。

目薬の先端が目に触れないようにして目薬をさす際は「2階から目薬」くらいの気持ちで上に離してさしましょう。目薬の先端が目に触れてしまうと、菌が容器内に入り繁殖してしまうので気をつけてください。

たとえ家族間であっても、菌が感染する可能性があるので、貸し借りは厳禁です。さした後は、目をパチパチとさせるのではなく、考える人のポーズで目頭をぐっとおさえると、目薬の効果が持続します。

市販の目薬は意外と容量が入っているものも多いので、一度買うと1年以上同じ目薬を使っている、なんて人もいるかもしれませんね。しかし、眼科で処方された目薬も市販の目薬も開封から1カ月で使い切る仕様となっています。防腐剤が入っていないものの場合、もっと短いものもあるのでご注意を。

また、目が乾いたと感じるたびに目薬をさす人もよくいます。使用頻度は1日8〜10回程度にとどめてください。乾燥するたびに目薬をさしてしまうと、本来備わっている涙を出す機能が退化。さらに涙が出にくくなる可能性もあるそうなので、心当たりのある方は気をつけましょう。

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