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みうらじゅんが目指す「アウト老」 可愛がられる老人になるために自分を崖っぷちに追い込み...

PHPオンライン編集部

2025年04月19日 公開 2025年04月19日 更新

みうらじゅんが目指す「アウト老」 可愛がられる老人になるために自分を崖っぷちに追い込み...

イラストレーターなど多岐にわたり活躍するみうらじゅんさんの新刊エッセイ『アウト老のすすめ』の発売に際して、紀伊國屋書店新宿本店にて出版記念イベントが開催されました。

「マイブーム」「ゆるキャラ」「老いるショック」といった数々の新語を生み出してきたみうらじゅんさんが、67歳を迎えた今、提唱する新たな概念「アウト老(ロー)」。その真意とは? そして、人生の後半戦を明るく、楽しく生きるためのヒントとは? イベントのもようをお伝えします。

 

DS状態(どうかしてる状態)に自分を追い込むのが大切

アウト老のすすめ

今年で67歳になる、みうらさんは還暦を過ぎて感じたという「老いるショック」を契機に、独自の「老い」との向き合い方を提示します。

「還暦を迎えて、体に「老いるショック」を感じたんです。でも、"老い"は考えてもしょうがないことですよね。年をとると何でもシリアスに考えがちですが、そうなると"しょうがないこと"の思う壺です。そんなときは、"しょうがないこと"に"しょうもないこと"をぶつけるのが一番効くと思ったんです。

そこで「老けづくり」を思いつきました。若作りをしたってバレるじゃないですか。僕は逆手をとって、実年齢よりも老けて見えることを心掛けるようになったんです。ただ僕は残念なことに白髪があまり出なくて。どうしたもんかなと思っていたところ、ひげを伸ばしてみると、すごく大量に白髪が混ざっていることに気がついて。これはしめた!と思いました」

そして、この「老けづくり」の先に目指すのが「アウト老」という境地。「アウト老」に近づくために最も重要なのは、「自分を崖っぷちに追い込む」ことだとみうらさんは言います。

「第一に、この姿(自分の顔が大きくプリントされたTシャツを着ている)が完璧にどうかしていますよね。これを僕はDS状態(どうかしてる状態)と呼んでいるんですが、DS状態に自分を追い込むのが大切ですね。今日はこの服装で、仕事場からここまで自転車で来ました。ただ、僕もアウト老を始めて間もないので、さすがに上着は羽織ってきたんですが。もうそうやって自分を慣らしていかないと」

みうらさんと言えば、「ゆるキャラ」や「マイブーム」といった流行語の生みの親としても有名です。今回の「アウト老」しかり、こういった名づけをすることには理由があるといいます。

「ネーミングがないと僕は頑張れないんです。本来、ゆるキャラやアウト老なんてジャンルは存在しないものなんです。ただその無いジャンルに名前をつけることで、アウト老ならこんなことはしてはいけない、みたいなルールが自分の中で出来ていって、まい進することができるんですね。

こんなこと言ったらなんですけど、僕は本当はごくまともな人間なので、こういったネーミングでアウト老になるように自分を仕向けていくんです。これからもレッツ不自然で、自然体ではいられないようにしていこうと思います」

 

ズボンのチャックは開けておいた方がいい

みうらじゅん

イベントでは、真面目な性格ゆえに「アウト老」になることを躊躇する人々へのメッセージも送られました。

「他人には真面目に接した方が良いとは思うけど。自分に対して真面目にするのは何の役にも立たないことです。特に老後には一番いらないやつで、そのままキープしていたら介護してもらえない人になってしまいますから。やっぱり赤ちゃん言葉を使うなりシフトしていって、可愛がってもらえる人にならないとね。頑張って自分からふざけていかなきゃなんないのが、アウト老だと思うんですよね。

人間はみんな生まれたときはツッコミ役だったと思うんです。誰かのことを非難したり、比較したり、いろいろするじゃないですか、ツッコミとして。でも、年を取って本当のボケが来る前に、ボケ役にシフトした方がすんなり正規のボケに入れると思うんですよね。あの人にツッこんでも大丈夫なんだって思われた方が周りも自分も楽じゃないですか。

それと、僕は「比較三原則」というのも"アウト老の前から考えてまして、それは、他人、親兄弟、それと過去の自分、と比べると不幸になるだけという考えです。誰かと比較するということは排除していくのが一番よろしいかと思います。

ただそんなにすぐには変われないと思います。頑張って周りに笑ってもらおうという気概がないと、なかなか真面目さは取れないんじゃないかな。ですから、いまのように皆さんの前に立った時にも、できればズボンのチャックは開いていた方がいい。つとめて、開いている方がいいと思うんですよね。そういうところから始められたらどうでしょうかね」

 

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