文鳥は豊かな感情や感性をもち、人と心を通わせるコンパニオンバードとして人気が高い小鳥です。
今年5月に刊行された書籍『文鳥のいいぶん。』(日東書院本社)では、文鳥研究の第一人者である相馬雅代さん(北海道大学大学院理学研究院生物科学部門教授)監修のもと、最新研究でわかった文鳥の50のヒミツが、表情豊かで愛らしい写真とともに紹介されています。飼い主なら気になる文鳥の健康についてはもちろん、文鳥の意外な生態や能力、人間のような感情・心理などについて、多角的に解説。
本稿では、『文鳥のいいぶん。』の一部を再編集し、文鳥の「恋」と生存戦略についての考察を紹介します。(画像は全て『文鳥のいいぶん。』より)
文鳥はペアになりたい気持ちが強い

文鳥はペアになりたい気持ちが強い鳥です。
ペアになって繁殖し子孫を残したいという目的がもちろんありますが、ペアでいると群れのなかで優位になるというメリットがあるのも大きな理由です。
ですから出会ってすぐにラブラブになることも多々。一度ラブラブになれば長くその相手と添い遂げるので決して気が多いというわけではありません。
近縁種であるキンカチョウの研究では、複数でケージに入れておくと32羽中30羽が7日以内にペアを作り、平均7.3日で巣作りを始め、平均11.6日で卵を産んだそう。スピード婚、かつスピード産卵です。
ちなみに一夫一婦制の小鳥ならみんな惚れっぽいというわけではありません。セイキチョウという鳴禽(めいきん)はなかなか恋に落ちない鳥で、オスとメスを出会わせても盛り上がることが稀。セイキチョウは野生では厳しい環境に生息しており、よほど相性のよい相手でないと繁殖が成功しないため、異性の選り好みが激しいようです。それに比べると文鳥の繁殖はやさしく、多少大雑把にパートナーを選んでも大丈夫なのでしょう。
哺乳類で一夫一婦制の種は10%以下。鳥類は90%以上が一夫一婦制です。鳥はペアが協力して子育てしないとヒナが育ちにくい種が多いため、一夫一婦制が多いのです。文鳥のペアは繁殖期以外もつねに一緒に行動します。仲睦まじい姿はうらやましい限りです。
ラブラブは見せびらかしたいし、第三者がいるともっといちゃいちゃする

文鳥のペアの挨拶ディスプレイ(お辞儀や羽づくろい、鳴き交わしなどを行って親愛や絆を確認し合う行動)は、そばに第三者がいるとより長く濃密になります。挨拶ディスプレイは「自分たちはペアである」ことをまわりにアピールする社会的シグナルでもあるのです。
文鳥はペアになると群れでの地位が高くなり、エサ場や水場、営巣場所へのアクセスも優位になります。ですからペアであることをまわりにアピールするのでしょう。
近縁種であるルリガシラセイキチョウの実験では、パートナーへの求愛中に他の個体がそばにいると求愛ダンスや歌が増えることがわかっています。しかも異性に見られているときはさらに増えるそう。
オスもメスもパートナーに求愛しながら、実は他の異性の目も気にしているのです。
これはなぜなのでしょう。
「あっちにもカワイイ女の子がいるけど、ボクにはキミだけだよ!」という一途な気持ちのアピールなのか、それとも「かわいい女の子に見られてるな、ボクのかっこいい姿を見せつけちゃおう」という浮気心なのか。どちらも可能性があります。
鳥の90%以上は一夫一婦制ですが、パートナーがいないときにこっそり浮気(つがい外交尾)することがあります。野生のセイキチョウや文鳥に浮気があるのかは不明ですが、飼育下のキンカチョウには浮気があります。
文鳥もラブラブなふりをしながら、他の異性の目を意識しているのかも…?








