資金繰りに直結する経費削減は社長が率先して取り組もう
2013年07月19日 公開 2022年12月28日 更新
「全ての中小企業を元気にする」という理念を掲げ、数々の企業の資金繰り改善を手がけてきた川北英貴氏(フィナンシャル・インスティチュート代表)が、「企業の血液」である資金をいかに回すかについて解説する。
※本稿は、『絶対にカネ詰まりを起こさない!資金繰りの教科書』(PHP研究所)の内容を、一部抜粋・編集したものです。
社長が変わらなければ、社員の経費削減の意識付けは変わらない
経費削減は、社員に「経費削減してください」と言って、やれるものではありません。また、経費削減を最も意識を持ってやっていけるのは、経営者です。
経営者自らが、一つ一つの経費を見て、削減できないかどうか、必要な経費であるのならもっと安くできる方法はないか、考え、行動していってください。
赤字で資金繰りが厳しい会社は、その経費削減の取組が足りないものです。
資金繰りが回っていた時に会社全体で経費を多く使っていたのであれば、資金繰りが回らなくなってきて経費を削減していこうと思っても、社長、経営幹部、社員、全員が高コスト体質になっています。
社長が変わらなければ社員は変わりません。まずは社長自らが、経費削減に動きます。
例えば、社長が電車で行ける距離でいつもタクシーを使っていたのなら、電車で移動するようにします。新幹線でいつもグリーン車に乗っていたのなら、普通草に変えるようにします。
「社長は考える時間を作るためにタクシーを使った方がよい」
「社長は体を休めるためにグリーン車に乗った方がよい」
と勧めている本がありますが、そういうことをうのみにしているから、高コスト体質になるのです。電車の中でも考える時間は作れます。普通車でも体は休められます。経費削減を行うのなら、まずは社長自身から変えていきます。
そうすると社長は、社員の経費の使い方に敏感になってきます。社長がふだんタクシーに乗っていた時は、社員もタクシーに乗って、経費精算で領収書を出してきても、社長はたいして気にしないものです。
しかし社長がタクシーを使うのをやめると、社員がタクシーを使っているのがとても気になってきます。そして、社員にタクシーを使うことをやめさせるようになります。
こういったことの積み重ねが、会社全体の大きな経費削減につながっていくのです。
そして、社員に何回も何回も言っていくことです。社員一人一人の高コスト体質を変えるのは容易ではありません。社員は、頭では分かっていても、それが行動に結びつくまでには、相当な根気と時間が必要です。それでも何度も何度も説き続けていけば、必ず変わってきます。
まず社長の意識を変える。社長の意識が変われば、社長の行動が変わる。社長の行動が変われば、社員の意識が変わる。社員の意識が変われば、社員の行動が変わります。行動の変化は、着実に数字となって表れてきます。
その数字の成果を、いつでも社員全員が確認できるように、見えるようにしておくとよいでしょう。
例えばこのグラフは、通信費の削減状況を見える化したものです。これを事務所の壁に貼り出します。このように、経費削減の効果について社員に見えるようにすることが、社員の経費削減の意識付けにはとても有効です。
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本当に必要なものか、安くできないか、徹底的に考える