東洋医学の第一人者・福辻鋭記が教える「熟睡・快眠」のヒント
2013年09月03日 公開 2013年09月04日 更新
理想の安眠枕があなたにも!
快眠枕は仰角2~5度。熱がこもらない通気性のよい素材で、首の頸椎のカーブにフィットして、頭との間に隙間がないもの。
お気に入りの寝具で眠っていても、実は枕が合わなくて熟睡できないという方も多いのではないでしょうか。
自分に合った枕を選ぶことで、睡眠の深さが変わってくるもので、枕選びは眠りの質を大きく左右します。しかし、多くの種類の枕がありますが、「コレ!」という枕を見つけるのは難しいものです。
大きさや素材、硬さなど、好みの枕は人それぞれに異なるものですが、「安眠できる枕」には、いくつかの大切な要素があります。
枕が高いと、肩コリや首の痛みの原因になり、無意識のうちに横向きで寝てしまうので、気道が圧迫されて夜中に目を覚ましてしまうこともあります。
逆に枕が低いと、首の頸椎と合わないために、顔や頭部の血行が悪くなり、やはり肩コリや首の痛みの原因にもなります。
快眠のための枕の高さの目安は、首の当たる部分が、自分の小指の長さより少し低いくらいが理想です。顔面の仰角にして、2~5度くらいが基準になりますが、安眠に最適な枕の高さは意外と低いことがわかります。
素材に関しては、通気性がよく、熱のこもらないものがポイント。そばがら、フェザー、パイプなどが主流ですが、最近はキャメル(ラクダの長毛)も吸湿性に優れていて、夏場にはおすすめです。
枕に熱がこもると頭部が温まり、寝苦しくなります。頭を涼しくして、身体の血行をよくすることが快眠の秘訣となります。頭の血が身体へ下がり、血流のよい手足から熟が放射されることで、眠りが深まるわけです。
デザインに関しては、それぞれの好みもありますが、頭との間に隙間がなく安定感があり、枕の形状が首の頚椎のカープにフィットするものを選ぶとよいでしょう。
冷たいビールといっしょに水を飲む
お酒を飲んで寝つきがよくなっても逆に眠りの質は低下。お酒と同時に水を飲み、アルコール濃度を薄めてダメージを防ぐ。
寝酒をすると眠れるとよくいわれています。お酒を飲むと体温を下げる効果があるために、眠りやすくなるわけです。居酒屋でウトウトして、気がついたらお店で寝てしまったというのも、アルコールが体温を下げるからなのです。しかし、お酒を飲むと寝つきはいいのですが、実は眠りの質は決してよくはないのです。
アルコールは飲んでから約3時間たつと、肝臓で分解されてアセトアルデヒドという物質に変化し、交感神経を刺激して、体温や心拍数を上げます。
人間の身体では寝ている間にもこうした活発な活動がおこなわれるために、お酒を飲んで寝入ってしまった場合、逆に夜中に目覚めやすくなってしまい、質のよい睡眠が取れなくなってしまうのです。
また、アセトアルデヒドには毒性があり、それが頭痛や吐き気といった症状を引き起こします。
このアセトアルデヒドもやがて酵素によって分解されますが、すべてが分解されるまでには時間がかかり、その間に胃腸や肝臓、そして筋肉など、身体の各所がダメージを受けます。このダメージが残った状態を二日酔いというのです。
就寝中の二日酔いを防止するのにも、水を飲むことが効果的です。お酒と水を同時に飲むことで、アルコール濃度が薄まり、血液中のアルコール濃度が急激に上がることを防ぎ、胃の粘膜への刺激を抑え、肝臓の負担も少なくなります。
たとえ寝る前のビールであっても、飲んだあとでコップ1杯の水を飲むことを心がけましょう。
また、寝酒は常習にもなりやすく、1杯で寝られたのが、しだいにエスカレートして2杯、3杯と量が増えないと寝つけなくなりますので、身体には決してよいことではありません。
もしお酒を飲むならば就寝時間の2~3時間前が理想的。お酒を飲んですぐに眠くなっても、ちょっと我慢をして、アルコールが分解されてから寝るようにするといいでしょう。
<書籍紹介>
深く短く眠って、朝に強くなる本
心と身体のゆがみを直せば、ぐっすり眠れる。熟睡できない原因は体幹と器官のズレにあった。東洋医学からみたすっきり熟睡法。
<著者紹介>
福辻鋭記
(ふくつじ・としき)
アスカ鍼灸治療院院長
福井県敦賀市出身。TBS「水曜スペシャル」で“日本の名医50人”に選ばれた鍼灸師。日本ではじめて、美容の分野に東洋医学を取り入れた第一人者。鍼灸のみならず、カイロプラクティック、整体なども取り入れた独自の治療法が評判となり、ダイエットや美容、健康関連の著書多数。また、テレビや雑誌などでも活躍中。
おもな著書に200万部突破の『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット』(学習研究社)をはじめ、『お腹をもみほぐすと病気にならない』(PHP研究所)、『骨盤に効く枕でダイエット』(宝島社)などがある。