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うつ病を予防する3つの方法



2013年07月03日 公開

和田秀樹 (精神科医、国際医療福祉大学大学院教授)

『うつ病は軽症のうちに治す』より》

 

うつ病は軽症のうちに!

うつ病は、憂うつな気分が長く続き、体に異様なだるさを感じる、とてもつらい病気です。以前と比べて効果的な治療方法は増えてきましたが、つらい状態を招かないためには、予防するに越したことはありません。うつ病を予防する方法としては、次の3つの方法が考えられます。

 1.思考を変える
 2.食生活を整える
 3.太陽光を浴びる

これらの方法は、認知療法、薬物療法、高照度光療法などの、うつ病の治療法を予防用に普遍化したものです。

 

1.考え方のパターンを変える

 うつ病の予防のためには、思考パターンの見直しが大切です。本書の「不適応思考のパターンを知る」に示したような12の典型的な不適応思考は、うつ状態を招きます。

 たとえば二分割思考の人は、「100点でなければ零点」という考え方をして、中間的なものを認めようとしません。「80点なら合格点」という考え方ができず、どんなことに対しても完璧を求め、徹底的に高いクオリティのものを追求します。

 それがプラスに働いているうちはいいのですが、行きすぎると、「まだ不十分」「もっといいものができる」と徹底的に仕事を続け、心身に大きな負担となってしまうことがあります。時には徹夜して仕事をするということにもなりがちです。

 20代の体力のあるときには、そうした仕事スタイルで乗り越えることもできますが、40代、50代になってくると体がもたなくなってきます。40代を超えたら、体力の限界もよくわきまえたうえで仕事をしていくことが必要になります。

 残業を重ねて睡眠不足になってしまうと、うつ病のリスクが高まります。また、睡眠不足の状態では、判断力にも影響を与えます。40代、50代のリーダー職、管理職クラスの人は、実務だけではなく判断も求められます。判断力の低下につながりかねませんので、過労、睡眠不足には気をつけなければいけません。

 その過労や睡眠不足を生み出す要因となっているのが 「不適応思考」にあるとしたら、思考方法そのものを変えていくことが必要です。

 多くの場合、20代~30代で身についた仕事スタイルや思考法を変えるのは容易ではありません。40代を超えると固定的な考え方が抜けなくなる場合もあります。少し考え方をリラックスさせて、「こうでなければいけない」「100点でないといけない」という凝り固まった考え方を変えていきましょう。それがうつ病に対する予防となりますし、かりにうつ病になった場合でも、軽症ですませることができます。

 思考パターンが不適応思考のパターンになっていないかどうかをチェックして、少しずつ変化させていくとよいでしょう。

不適応思考チェック

 □問題解決のための十分な知識を持っているか?
 □思考が一面的になっていないか?
 □人の意見に左右されすぎていないか?
 □思考が感情に左右されていないか?
 □自分の立場に不利な思考を遮断していないか?
 □過去の経験によって培われた認知パターンに縛られていないか?
 □権威の言うことに影響されすぎていないか?
 □自分の思考スキーマにとらわれて、思考が固定化していないか?
 □考えずに、知識で解決しようとしていないか?

 

2.バランス良く食べる

 うつ病のメカニズムとして、今のところ有力な説は、脳内のセロトニン不足が発端になっているというものです。

 うつ病を予防するには、セロトニンのベースラインを高めておくことも役に立つはずです。セロトニンは、トリプトファンという物質からつくられます。トリプトファンを含んだ食品を食べることは、うつ病の予防につながるはずです。トリプトファンは、肉類をはじめとして、納豆、たらこ、チーズ、牛乳などに多く含まれています。

 納豆やたらこを一度にたくさん食べるのは現実的ではありませんが、肉100グラムなら、すぐに食べられるはずです。牛丼並盛りは牛肉が85グラム程度だそうです。大人の場合は、100グラムでは少し物足りないかもしれません。

 食事で摂取した成分がすべて体内に取り込まれるわけではありませんが、摂取しておかなければ、セロトニンをつくる十分な材料を得られません。定期的に肉を食べて、トリプトファンをとっておけば、セロトニンをつくるための準備はある程度できていると思っていいでしょう。

 トリプトファンは、睡眠と関係の深いメラトニンという神経伝達物質の原料でもあります。トリプトファンをとることは、快適な眠りにもつながります。

 中高年以降になると、コレステロールを減らそうとして肉類を控える人もいますが、コレステロールは脳にセロトニンを運ぶ働きがあるのではないかと考えられています。実際、「コレステロール値の低い人のほうが、うつ病になりやすい」という研究データも出ています。とくに高齢者の場合、コレステロール不足は、かえって健康リスクを高める要因となります。

 世の中の高齢者の人たちを見ていただくとわかると思いますが、痩せている高齢者より少し太めの高齢者のほうが、元気で活動的です。肉を食べ、コレステロールをきちんと摂取しておくことが健康には必要なのです。

 コレステロールが悪者扱いされるのは、欧米の医療知識が導入されたことによるものです。欧米では肉をたくさん食べる習慣がありますから、コレステロールが高くなりがちで、肉類を減らすことが心臓病のリスクを減らすことにつながると考えられています。

 一方、日本では肉をたくさん食べる高齢者は多くないため、欧米の人ほどコレステロール値は高くはありません。日本は、心臓疾患で亡くなる人よりも、ガンで亡くなる人のほうが多い国です。欧米の食習慣と日本の食習慣は大きく違いますので、欧米の健康常識を鵜呑みにしないほうがいいのです。

 ただし、肉だけ食べていればいいということではありません。肉も含めて、バランス良く食事をとることです。魚にもトリプトファンは含まれていますから、魚を食べることも大切です。

 肉と魚をバランスよくとるのが、うつ病の予防にも体の健康にも一番良いでしょう。

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著者紹介

和田秀樹(わだ・ひでき)

精神科医

1960年、大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長。著書に、『感情的にならない本』『自分は自分 人は人』(以上、新講社)、『不安にならない技術』(宝島社)、『心と向き合う臨床心理学』(朝日新聞出版)、『医学部にとにかく受かるための「要領」がわかる本』『すぐに、人間関係がラクになる本』(以上、PHP研究所)、『老人性うつ』『「がまん」するから老化する』(以上、PHP新書)、『うつ病は軽症のうちに治す!』『「思考の老化」をどう防ぐか』(以上、PHP文庫)など多数。

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