日本仏教の開祖・親鸞
2011年04月16日 公開 2021年05月27日 更新
一人一人が自分らしく生きる
戦後の日本人の多くは、戦乱も飢餓さえも知らないまま今日まで平和な時代を生きてきました。これからも、今日を明日につないで生きていくことでしょう。
しかし、釈迦が出家して仏教を開くきっかけとなった、生老病死という4つの苦しみからは、だれしも逃れることはできません。いつかは、その苦しみを背負うことになるのです。だからこそ、限りある一生を精一杯自分らしく生きることが大切だと見ることもできます。
自らを「煩悩具足の凡夫」とみなした親鸞は、晩年「阿弥陀仏の本願は私一人のためにある」と語って、阿弥陀仏の導きのままに生きることを決意しました(自然法爾・じねんほうに)。
そうしてみると、私たち自身が、まずは自分の心の強さも弱きも率直に認め、これからどう生きるかを考えることの大切さがよく理解できるはずです。
親鸞が「私には弟子というものは一人もいない。みなが同朋なのだから」と語ったように、一人一人が自分らしく生きることこそ、親鸞の目指した境地だったといえるでしょう。