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家を手放し、スーツケース1個の生活を選んだ50代女性 モノを処分しながら覚えた葛藤

しょ~こ

2026年01月23日 公開

家を手放し、スーツケース1個の生活を選んだ50代女性 モノを処分しながら覚えた葛藤

Instagramでの発信や二拠点生活、ひとり海外旅など、50代を過ぎてからやってみたいことに次々と挑戦しているインフルエンサーのしょ~こさん。ニューヨークへの旅をきっかけに、「家を手放し、スーツケース一つで旅をする」暮らしに挑戦してみたいと思うようになったといいます。

著書『50代、「心地いい暮らし」は自分でさがす』には、そんな彼女が日々"実験"しながら暮らす様子が綴られています。本稿では、家を手放すと決めてから、実際に行動に移すまでの過程をお届けします。

※本稿は、しょ~こ著『50代、「心地いい暮らし」は自分でさがす』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。
※写真はイメージです。

 

「家」をなくしてみる、という実験

初めてニューヨークを訪れたとき、何泊かエアビーに宿泊しました。ミッドタウンにあるアパートメント。年季を感じるレンガ造りの、小さな階段がついたアプローチ。まるで映画に出てきそうなこの部屋で、数日だけでも過ごせることが夢のようでした。「一度は海外で暮らしてみたい」と思い始めたのは、それがきっかけだったかもしれません。

海外移住は思いつきでできるほど簡単ではない。いろんな国に行き、調べるうちにわかってきました。だけど可能性はゼロではありません。

ニューヨークでは、実際に移住したご夫婦に話を聞くことができたのも、私の想像力を刺激しました。できるかできないかは別として、旅するたびに「もし住むならどこがいいかな?」と妄想しちゃう(妄想はタダだし)。今は日本国内での二拠点だけど、いつか、日本と海外の二拠点生活ができたらかっこいいなぁ、と妄想はどんどん膨らみます。

二拠点生活をしながら旅もする。そうこうするうち、京都の自宅へ帰る日数が徐々に少なくなってきました。人に会う用事は圧倒的に東京が多い。しかも海外と日本の二拠点生活をするなら、日本の拠点は一カ所でよくないか?

でも京都の部屋は私の原点とも言える場所。インスタグラムを始めて生き方が変わったのもこの部屋を片づけたからこそ。それに離婚して子どもたちと4人で暮らした思い出も詰まっています。いやいや、この部屋は残すでしょ?

そこで考えたことは─「怖いほうを手放そう」でした。

なぜかというと、自分の都合のいいこと、心地いいものばかりを選ぶことは、快適なお風呂にずっと浸かっているようなものです。居心地がいいから出たくない。けれどお湯はいつか冷めるし、上がらなければ何も変化はない。ずっとぬるま湯に浸っていて楽しいか?

と考えたのです。振り返ってみると、これまでの人生でさまざまなものを手放すことで、私自身が成長し、進化してきました。

専業主婦をやめ、ヤクルトレディへ。広告代理店で編集を学び、フリーライターへ。13年続いた結婚生活と夫を手放し、シングルマザーに。

5年前に部屋を片づけたときも、たくさんのモノを手放しました。そこで思考が変わり、生き方が変わり、それを発信することで働き方まで変化しました。20年続けたライターという働き方は一生変わらないとしがみついていたのに、前向きに手放すことができた。

自分が夢中になれるものが仕事になり、ついには海外にまで飛び出して。

だけど待って。5年前の大きな手放し以降、私、何か手放した?そう考えると、拠点を増やしてモノも増やしただけでした。「あああ、私、何も手放してないぞ!」とハッとしたのです。

このままだと進化しない気がする。57歳だからもう進化しなくてもいいって?いやいや、私は一生、進化と変化を続けたい。

じゃあこういうのはどうだろう?

「家を両方ともなくして、スーツケース1個で世界を旅する」というのは─。

京都の家を手放すのも怖いけど、両方の家をなくすと考えたら、もっと怖い。一気にじゃなくてもいいし、徐々にでもいいから、そんな方向で動いてみるのはアリかも─。怖いけど、一方でワクワクしました。何もかも手放して身軽になって、メリー・ポピンズみたいに飛び回る自分が目に浮かびました。

正直、できるかどうかわからないし、実際にやってみたら「あ、無理だった」となるかもしれない。だけど一度実験をしたくなったのです。試してみるぐらい、いいんじゃない?失敗したらそれはそれ。思うに、人生は壮大な実験なのではないでしょうか。人生は思ったより短い。やりたいことはやり尽くしましょ!

 

ワンツースリーで手放そう

しょ~こ
イラスト:ユキダベリー

「家をなくす実験をしてみよう」と決意した私。まずは京都の家から片づけていくことに決めました。さて、5年前に片づけを始めたときにわかったのは、「モノを手放すには段階がある」ということ。

たとえば不要なものを一気に処分しようとしても、スパッと決められないものがある。じゃあどうしたかというと、ワンツースリーと、ステップを踏むように手放していったのです。

たとえば、引き出しの中をぜんぶ出したとします。手放すもの、残すものを分けていくと「え、これどうしようかな」と迷うものって、必ず出てくるんです。

そういうときは、いったんペンディングにして残す。だけど結局、数カ月後とか1年後に見直したときには「もういいか」となることがほとんど。

でも私が執着を手放すには、その数カ月が必要だったということです。

私は、いったん置いておく"ペンディング箱"みたいなものを作って、ふたをして放置していました。数カ月ふたを開けなければ「不要」ということ。このとき、あえてふたを開けずにそのまま処分するのがポイントです。開けちゃうと、「また使うかも?」なんてあとを引くからです。

かように人間の執着たるものは力が強いのですよね。「もしかしたらまた使うかも」の「もしかしたら」は、永遠にくることがないのが常なのです(「箱の中には何が入っていたっけ?」というぐらい、記憶にない)。

そして再び片づけを始めたここ数カ月。

5年前と違うところは、「もしかしたら」のペンディング期間がこれまでより短く、要不要の判断が早いこと。だって、最終目標はスーツケース1個なんですよ?

いくら好きな作家さんのうつわだからって、いくら思い入れのある、やかんだからといって、スーツケースには入れることができないんです。

そう、基準が「スーツケース1個」になると、とたんに判断がしやすくなりました。とはいえ、ここまできても一気に「スーツケース1個」までモノは減らせないんですよね......。往生際が悪いというかなんというか。

スーツケースに収まるものって、せいぜい3日分の衣類と化粧品ぐらいです。そこまで行きつくには、まだ執着を手放す練習が必要ってこと。

だけど5年前よりかなり成長はある。「いる、いらない」の判断が早いのだから。最後に残るのはやはり洋服かな。

うーん、悩ましい。

プロフィール

しょ~こ

インフルエンサー

1967年京都生まれの京都育ち。高校を卒業しOLを経て結婚。専業主婦からヤクルトの販売、広告代理店勤務を経てフリーライターとなり、主にインテリア雑誌で活動する。40歳でシングルに。コロナ禍を機に京都の自宅の片づけを断行し、Instagramで発信したところフォロワーが急増(22.9万人、2025年10月現在)。53歳からInstagram のインフルエンサーとして活動中。著書に『不要なものを手放して、50代からは身軽に暮らす 自分、おかえり!』(主婦の友社)、『55歳、小さなひとり暮らし〜ワクワク、身軽に、気の向く方へ』(大和書房)がある。

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