無駄に心を苦しめない
2011年05月19日 公開 2021年05月26日 更新
「責めず」「比べず」「思い出さず」
そのためには、人と比べて自分のランクを考えることをやめるべきです。その思いが浮かんだら、「比べず」と自分に言い聞かせるのです。同時に、今の自分でよしとして、自分が劣っているとか、自分より上の人がいるなどと考えて自分を責めないことです。
私は「責めず」「比べず」「思い出さず」という言葉をいつも自分に言い聞かせています。この言葉は、分を認める上で非常に役立ちます。
だからといって、よりよくなろうとする努力をやめるということではありません。逆に、自分は人より劣っていると考え、劣等感を持っていては向上しようという意欲もわきません。
むしろ、自分の分を知り、自分はこのままでよいのだと思うと、自然体で努力できるのです。そのように努力していると、いつの間にか自分の立ち位置が変わり、それが新しい分になるのです。
自分の分、自分の立ち位置をありのままに認め、それを卑下するでも自慢するでもない生き方をすることこそ、心を苦しめない生き方です。それが分を知るということです。
自分の欠点や短所を嫌い、それを何とかしようと苦しんでも、変えることはできません。
ところが、前に述べた剣道の先生が言うように、欠点は欠点のままにほうっておいて、自分の得意なところを伸ばそうと努力すると、自分が進歩し、気がつくと欠点がなくなっていたり、あるいは長所に隠れてしまっているということがあります。
剣道でいえば、欠点などに取り合わずに長所を伸ばそうと努力すると、次第に実力がつき、試合に勝てるようになるというわけです。そのとき、昔のままに欠点があるのかもしれないし、なくなっているかもしれません。
しかし、剣道が強くなって試合に勝てるのであれば、欠点があってもなくても問題ではなくなっているはずです。