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Voice 推薦!今月の5冊

『Voice』編集部

2011年05月20日 公開 2022年08月22日 更新

自主防衛を急げ!

『自主防衛を急げ!』

日下公人&伊藤 貫 著
李白社/1,785円(税込)
東洋経済新報社/1,680円(税込)
 内憂外患。未曾有の国難に襲われている日本だが、その間にも中露は挑発に暇がない。しかし尖閣事件を鑑みるにつけ、やはり自主防衛能力が必要、と感じた日本人は少なからずいるだろう。
 かねて核武装に言及してきた日下氏と、『中国の核が世界を刺す』(PHP研究所)で言論界に衝撃を与えた伊藤氏の対談とあらば、必然的に導かれる議論は「日本の自主防衛」である。しかしその本質は、「威勢だけの議論」とは対極だ。米国の凋落、中国の勃興というバランス・オブ・パワーの変化を見据え、合理的な視点から、わが国の選択すべき道が論じられている。「核の傘は壮大なフィクション」(伊藤氏)という事実に多くの日本人が気づく書となることを願ってやまない。(T.F)

テレビは総理を殺したか

『テレビは総理を殺したか』

菊池正史 著
文藝春秋/955円(税込)
 政治とテレビの大問題についての論及は多いが、どれも隔靴掻痒の感があった。その点、本書は日本テレビで政治部デスクを務めた著者が、「テレビ報道する側の論理」と政治家との関係を描き尽くしている。いかに小泉政治は成功し、安倍総理は挫折したのか、小沢一郎氏や鳩山総理はどうだったのか。活字メディアが報じないテレビの裏側を知ることで、政治をみる目が一変するはずだ。(T.K)

諜報の天才 杉原千畝

『諜報の天才 杉原千畝』

白石仁章 著
新潮社/1,155円(税込)
 第二次大戦中、主としてユダヤ系避難民に数千通もの日本の通過ヴィザを発給したことで、今日国際的に高く評価されている外交官・杉原千畝。
 だが、ヒューマニズムという観点からのみでは、その意義はみえてこない。本書は"諜報将校"としての杉原の側面に光を当て、これまで歴史に埋もれていた部分をすくい上げた力作。ミステリー小説を読んだかのような、新鮮な驚きが味わえる。(T.N)

日本海から希望が見える

『日本海から希望が見える』

沼田憲男 著
情報センター出版局/861円(税込)
 いまや米国に次ぐ経済大国となった中国。この隣国からみれば、日本の表玄関は日本海沿岸だ。この「日本のウェストコースト」こそ経済成長の次の牽引車なのだ――。
 著者は大手新聞の経済記者を辞めて日中経済交流に携わり、京都府北部を拠点に多方面で活動する異色の人物。若者の起業を応援する投融資制度の設立や大阪経済特区構想など、本書は元気のよいアイデアに満ちている。(T.Y)

自分の始末

『自分の始末』

曽野綾子 著
扶桑社/798円(税込)
「自分の始末」とは、「できるだけあらゆる面で他人に迷惑をかけずに静かにこの世を終わらせること」と著者は語る。人生の一瞬一瞬をいかに生きるべきかを導き出す本書には、著者のこれまでの膨大な作品から抜粋された、まさに、いまを生き抜く極意がちりばめられている。「物事の始めから終わりまで」を表わす「始末」という言葉に託された、生きる指針が詰まった必読の書だ。(M.T)

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