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生き方

「参考書片手に弟を寝かしつけ」 母が振り返る、菅田将暉の長男としての顔

菅生好身(一般社団法人ライフバランス協会代表理事)

2022年01月28日 公開 2024年12月16日 更新

「参考書片手に弟を寝かしつけ」 母が振り返る、菅田将暉の長男としての顔

私には3人の息子がいて、上から大将、健人、新樹といいます。

長男は、俳優・歌手の「菅田将暉」と紹介したほうがわかりやすいでしょうか。大将は、16歳でこの名前をもらって『仮面ライダーW』の主演でデビューしました。次男の健人は現在、映像制作の仕事をしながら、YouTubeで歌を披露しています。三男の新樹は大学に通いつつ、モデルやファッションの仕事もはじめました。

自分の才能を存分に発揮しながら人生を楽しんでいる息子たちの姿は、母から見てもまぶしく、同時に誇らしさも感じます。

私がそんな3兄弟ともに泣いたり悩んだり、そしてそれ以上に一緒に笑って楽しく過ごした日々を振り返り気づいた、「兄弟同士で成長しあうこと」「子どもの視点を大事にすること」についてお話ししたいと思います。

※本稿は、菅生好身 著『3兄弟のあしあと 〜才能の芽を育んだ菅生家の子育て記』(辰巳出版)を一部抜粋・編集したものです。

 

親が子を育てるだけでなく、子ども同士でも成長していく

「3人も育てられて、しかも男の子ばかりで、お母さんはたいへんだったでしょう?」

「才能あるお子さんばかりに恵まれて、幸せですね」

私がいろんな方からかけられる言葉です。幸せなのは間違いありません。それは3兄弟に才能があるからというよりは、それぞれが子どものときから個性を大事にし、自分らしく生きてくれているからです。男の子だから、3人いるから特別にたいへんだと思ったことはありません。子どもの性別や人数にかかわらず、子育てをしているとたいへんなときは必ずあります。

ただ、人数が多いほど手がかかることは間違いないでしょう。ですが私の場合、思い詰めるほどのことはありませんでした。というのも、我が家では、親が子を育てるだけでなく、上の子が下の子を育ててきたから。次男が生まれたとき、長男はその小さくてか弱く尊い命を前にして驚き、自然に「自分がお世話をする」と思ったようです。

幼いうちはできることが限られますが、自発的によく面倒を見てくれていました。三男が生まれたときは、兄のそんな様子を見て育った次男が、やはり自然に三男のお世話をはじめました。一方で、三男に対して2人の兄が一目置くところもあり、ともに成長しているのです。

家の中は、いつもにぎやかでした。毎日運動会が開催されているようなもので、それほど広くもない居間で、プラスチックのバットと発泡スチロールのボールで野球をするのです。三男は小さいのでハンデをつけてもらっていました。長男から投げられた甘めのボールを打ち返したときの、三男の得意そうな顔! いま思い出しても笑みが浮かびますが、2人の兄は、末っ子のファインプレーを素直にたたえていました。

長男と末っ子は7学年離れていますが、3人が一緒に行動することが多く、そのわりにケンカは少なく、いつも仲のよい兄弟でした。

 

大好きなお兄ちゃんが16歳で上京し、弟2人に起きた変化

子どもが小さいうちは、親がそばにいて目をはなすことなく見守っていなければなりません。我が家ではそれを上の子が担ってくれることが日常的にあり、ずいぶん助けられました。寝かせつけも、長男がしてくれました。テスト勉強があるときには、三男に添い寝し、右手に参考書を持ってそれに目をとおしながら、左手で三男の背中をやさしく撫でて寝かしつけていました。それはそれは、ほほえましい光景でした。

幼稚園に通っている三男のお迎えも、長男はよく買って出てくれました。三男も大好きなお兄ちゃんが迎えにきてくれるのがうれしくてたまらなかったようで、おんぶしてもらって帰ってくるんです。本当に近い距離なので当然歩けるはずなのですが、思いっきり甘えたいのですね。

そんな大好きなお兄ちゃんは、16歳でデビューが決まり上京しました。

長男が上京してしばらくは、家の中の火が消えたようでした。弟2人の落ち込みっぷりは、相当なものでした。夢を叶えた兄を祝ってあげたい気持ちはあっても、まだ2人とも幼かったのですね。とくに長男にべったりだった三男は、心配になるほどしょげていました。大人なら喪失感という言葉であらわすのでしょうが、彼はまだメソメソ泣くしかできません。

しかしそこから、私も想像していなかった変化が起きました。次男が急にしっかりしだしたのです。これまでお兄ちゃんが家の中で果たしていた役割を、今度は自分が担おう。私の目には、次男がそう思っているように映りました。

次男はもともと穏やかな性格で、3兄弟の中でも一歩うしろに下がっているようなタイプでした。そんな次男の変化を、三男も感じとったのでしょう。何かあれば次男を頼るようになり、2人の距離がさらに縮まりました。1人の成長が、ほかの兄弟の成長をうながすのですから、兄弟というのは面白いものです。

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長男の「2時間迷子事件」で気づいたこと

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