日々何かしらの不安やプレッシャーが降りかかる現代社会。自分自身でからだやメンタルを整える「セルフケア」の重要性はさらに高まっています。ハーブを日常に取り入れることもその一つです。植物療法士の菅原あゆみさんが主宰する「NeRoLi herb」はモデルやメイクアップアーティストなどの著名人から支持が厚く、今冬には下北沢にあった店舗が表参道に移転するほどの人気ぶり。
菅原さんは著書『植物はどんなときも私の味方! 幸せになるためのハーブレシピ』にて、植物のすばらしさやハーブの底力を理解してもらいたいと語ります。同書から、忙しくても簡単にできる"アロマテラピー"の方法をご紹介します。
※本稿は菅原あゆみ著『植物はどんなときも私の味方! 幸せになるためのハーブレシピ』(世界文化社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
発した言葉が与える影響
みなさんは「言霊」って信じますか?ある辞典には「古代日本で、言葉に宿っていると信じられていた不思議な力」と書いてありました。
ただ、私はスピリチュアル的な意味でお話ししているわけではなく、口に出す言葉や日頃の習慣は、自分の心やからだを良くも悪くするよ、と言いたいのです。
例えば「あ~ぁ、だるい」を口癖にしている人は、人間像も暗くなんとなくだらしないような、疲れた人に見えることはありませんか?逆に、ポジティブな言葉を発する方は明るく元気で素敵に見えます。
ですから、体力や気力をすっかり使い切った状態を表す「疲れた」を普段、口にしていると、心身に影響が及ぶ可能性もあるので、その言葉そのものを意識的にプラスのものへと変えていくことができれば、疲労感も軽減することができるのではないかと思います。
「今日も疲れた」を「今日も頑張った」に変えてポジティブな表現にしてみてはどうでしょうか。一気に、明るい日常に変わりませんか?前向きな言葉を選んで話すことで、元気なエネルギーが宿ります。そのエネルギーによって行動も変わってくるため、すべてが好循環になっていくのです。
ハーブの葉の香りをかいで、いい匂いと思うだけで幸せになるように、あなたの発言ひとつで、ポジティブな人がどんどん周りに増えて、波動を上げることができると思うのです。
本当に些細なことに感じますが、毎日の口癖を、少しプラスの言い方に変えるだけで、生活にきっと変化や彩りが生まれますよ。
どんな言葉を発するか――言葉の選択によって脳への影響は大きいよ、と私は思います。
自分の機嫌を取ってあげる癖をつけましょう
外からの情報を脳へ伝える「嗅覚・触覚・視覚・味覚・聴覚」のうち、大脳辺縁系にストレートに伝わるのは嗅覚だけです。香りの情報は大脳辺縁系に伝わることで、感情が生まれ、すぐに視床下部へと伝わっていきます。
つまり好みの香りを嗅ぐと、頭で考えるより先に、いい気分になったり、リラックスできたり、元気が出たりするのです。ですから、現代を生きる女性には、精油の芳香効果を大いに利用してほしいと思っています。
例えば、「上司に理不尽に怒られたとき」や、「彼氏や夫に約束や予定を破られたとき」などはイライラして気分が悪くなる一方です。そんなときは、精油でできた「マイフレグランス」をたっぷり振りかけて深呼吸を。これは脳へのサプリメントになります。
いちばん簡単なのは、次項でお話しするように香りを吸引すること。香りの成分を鼻から取り入れることで、微量ではあるものの鼻や喉の粘膜からも吸収され、血管へと入ります。また一部は気管を通って肺に入り、肺の奥にある肺胞から毛細血管へと入ります。血液の流れにのって全身のさまざまな組織へと運ばれて効果が発揮されるので、全身のリラックスも期待できます。
特にカモミールやラベンダーなどの精油はストレスで高くなった心拍数を下げることや、緊張で活発になる交感神経の過剰な動きを落ち着かせることにも期待できるので、穏やかな気分へと誘ってくれます。
そう、精油は自分自身の機嫌を取って、どんなときも穏やかでいられる力を与えてくれるものなのです。「イライラさせられていたけれど、それは人生の浪費だったわ!」と心で唱えながら、笑顔を返せる女性になりましょう。
鼻から吸い込む“スイーツ”で心身のリセットを
小さなお子さんを持つママさんや仕事で忙しいOLさんは、日常的な不安やプレッシャーから呼吸が浅くなりがち。長時間のデスクワークやスマホの使用などで、姿勢が悪くなり、これが浅い呼吸を促進します。
香りは吸い込むとすぐに脳に届き、深いリラクゼーションを促すことができます。これは、ストレスや不安をすぐに軽減したい場合や、集中力を向上させたいときに特に有用です。
なかでも吸入法は特別な道具がなくても行えるので、是非、お好みの柑橘系などの甘めの精油を1本用意しておいて、スイーツを食べるような感覚で吸引をしてみてください。
マグカップなどの器に熱湯を注いで、その中に2~3滴、精油を落とし、上ってくる湯気に鼻を近づけて、香りを感じながら深呼吸を。これは蒸気吸入法と呼ばれており、立派なアロマテラピーです。仕事中以外にも、帰宅直後など、たった10分間で呼吸がしやすくなる使用法を覚えておきましょう。
※精油を入れたマグカップのお湯は、子どもが誤飲しないよう注意してください。
※咳の出るときや喘息の方は、マグカップを使った芳香浴(蒸気吸入)は避けるようにしてください。
○材料(1回分)
好みの精油(柑橘系など甘めのものがおすすめ)…2~3滴
お湯(50~80℃程度)…200mLマグカップ
※精油成分が壊れてしまうため、沸騰したお湯には水を加えます。
〇おすすめの精油の効果
グレープフルーツ
落ち込んでいるときや心が暗くなってしまっているときに、気分を高揚させ、前向きな気持ちにしてくれる香り。気分にムラが生じて不安定になっているときにも役立ちます。
レモン
気分を明るくリフレッシュして、意識を冴え渡らせてくれます。集中力、記憶力を発揮したい場面でも力強い支えになってくれます。
オレンジスイート
心に安らぎと元気を与えてくれる香り。心配事があるときや、気分が落ち込んでいるときに支えになってくれる精油です。