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真田信之、父・昌幸と弟・信繁の助命嘆願に奔走す

平山優(日本中世史研究家/大河ドラマ『真田丸』時代考証)

2016年09月21日 公開 2023年03月31日 更新

信之、父昌幸の遺領を与えられる

慶長5年(1600)12月13日、真田昌幸は改易され、上田城は徳川家康によって没収され、小県郡の旧真田領は徳川氏の管理下に入った。上田城には城番が入ったことは、既述の通りである。

そして家康は、約束通り、信之に父昌幸の跡を与えた。ただし、その時期については明確にならない。家康からの知行宛行状も残されていない。わずかに、慶長5年(1600)12月26日、信之が小県郡海野の白鳥明神の禰宜に、従前通り、社領30貫500文を安堵する朱印状を与えている。これが、信之による小県郡支配の初見である。海野の白鳥明神は、真田氏の氏神の一つであるから、その神社への安堵をもって小県郡支配を開始したのだろう。

なお、この時、信之が拝領した小県郡の石高は諸説あって定まっていない。現在、最も妥当と推定されている知行石高は、沼田領2万7000石とあわせて、合計9万5000石というものである。これらの知行石高は、昌幸遺領、信繁遺領と沼田領および検地による打ち出しの総計であったと推定されている。

 

平山優[ひらやま・ゆう]
1964年東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科博士前期課程史学専攻(日本史)修了。専攻は日本中世史。山梨県埋蔵文化財センター文化財主事、山梨県史編さん室主査、山梨大学非常勤講師、山梨県立博物館副主幹を経て、山梨県立中央高等学校教諭。2016年放送の大河ドラマ「真田丸」の時代考証を担当。著書に、『武田信玄』『長篠合戦と武田勝頼』(ともに吉川弘文館)、『武田遺領をめぐる動乱と秀吉の野望』『天正壬午の乱 増補改訂版』(以上、戎光祥出版)、『山本勘助』(講談社現代新書)、『真田三代』(PHP新書)、『大いなる謎 真田一族』(PHP文庫)、『真田信繁』(角川選書)などがある。また『マンガで読む真田三代』(すずき孔、戎光祥出版)の監修を務める。

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