生き方

静思の時

月刊『PHP』裏表紙の言葉

2016年12月01日 公開 2022年06月09日 更新

静思の時

露店の広い湯船にゆったりと浸かり、思い切り手足を伸ばす。風が木々を揺らし、頬を撫でる。「ああ、気持ちいい」。縮こまり、凝り固まった心と体がゆっくり説きほぐされてゆく。いつ以来だろう、こんなにのんびりするのは。

思えばこの1年、何と慌ただしく過ごしてきたことか。立ち止まることなく、目の前のこと、日常の仕事にひたすら取り組んできた。それはそれで充実した日々ではあったが、そのために、多くのものを置き去りにしてきたのも事実。

しばし沈思の時をもとう。よかったこと、よくなかったこと、過ぎ去りし1年を顧みよう。思い返せばうまくいったことばかりではなかった。失敗したことも1つや2つではない。

しかし失敗するのは、もっと成長できる、まだ伸び代があるということでもある。そう思いを定め、失敗を無駄にせず、次に生かして、より高みを目指してゆけばよい。

年の暮れ。ゆく年くる年の準備に追われるときではあるけれど、こういう時期だからこそ、1年のけじめをつけ、来るべき年に希望をつなげるために、去りゆく年を振り返る静思の時を大切にしたい。

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