なぜ、職場の「和気あいあい」は最悪なのか
2017年03月27日 公開 2022年11月14日 更新
メンバーが「切磋琢磨」する職場のつくり方
また、実力のないリーダーであればあるほど、「和気あいあい」を目指しがちです。
なぜなら、自分の能力がないことをゆるい雰囲気の中で隠せるからです。責任の所在もぼやけるので、無能なリーダーほど和気あいあいとしている組織を望むのです。
一方、優れたリーダーが目指すのは、メンバーが「切磋琢磨」するチームです。
共に働く仲間同士で、「彼もがんばっているから、俺もがんばろう!」と刺激しあえる。もっとも実力のある人間に、周囲が追いついていこうと必死に努力する。そういう雰囲気の組織が成長しないわけがありません。
では、どうすれば「切磋琢磨」する雰囲気をつくることができるのでしょうか。
そのためには、なんといっても「外向き」な組織を目指す必要があります。
しつこいようですが、「お客さま第一」で思考と行動をあらためて統一させる。そのために「切磋琢磨」するのだ、ということをリーダーはメッセージとして伝えなければなりません。お互いに足を引っ張りあうのではなく、お客さまのためにお互いを高め合おうと伝えるわけです。そして、当然のことながら、リーダーも全力で前を走る姿勢が必要です。
もう一つのコツは、メンバーが揃って「気楽に真面目な話ができる」場をリーダーが意識的につくることです。
この「気楽に真面目な話ができる場をつくる」ことの重要性は、企業の組織風土改革を手がけるスコラ・コンサルトの創業者・柴田昌治氏が長年提唱されていることです。
日本の組織は、会議やミーティングなどで「固苦しく真面目な話をする」機会も多い。
また、飲み会などで「気楽にバカな話をする」機会も多い。ところが、「気楽に真面目な話をする」機会は非常に少ない、というのです。
年齢も役職も関係なく、自由な議論や意見交換ができる。そうした場こそが、イノベーティブな発想や、お客さまのための新たなアイデアを生む場となるのです。
そんな「気楽に真面目な話をする」機会を意識的に増やすことです。
飲みに行くまでもなく、夕方の社内で「ちょっとビールでも開けながら話そうか」でもいい。あるいは飲み会の席で「時間を区切って真面目な話をする」でもいい。稲盛和夫さんもコンパ(京セラ社内にある和室の大広間などで開催される飲み会のこと)を催した場合には、そうされているそうです。そうした場では、リーダーであるあなたが大演説などせずに、聞き役に回ることも大切です。
気楽に真面目な話を誰しも進んでしたがる―これも強い組織の共通点です。