未来予測!世界はいずれ「日本化」する
2018年03月18日 公開 2022年10月13日 更新
世界を見るメガネは「ローカリズム」
ドナルド・トランプ大統領が登場してからアメリカのインテリは、すっかり静かになった。新しい世界をつくろうという呼びかけは消え、新しい世界はかくあるべしという理想や夢を語る声もない。
それに代わって「北朝鮮を制裁する」という声が出てきた。実力があるアメリカが言うのだから実現性は十分あると思うが、それがあと一歩というところで進まない。「進め!」という声もない。
日本の安倍晋三首相も「では、日本がやる」とはさすがに言えない。日・米・韓・中の四カ国で圧力をかけようというところで止まっている。
このまま貿易を制限しているだけで十分効果はあるのだから何も焦ることはない、三年ぐらい続けてみよう……と思うが、そういう声もない。これまで世界各国はスパンの短い外交を続けてきたので、それがクセになっているらしい。どこの国でも政権の寿命が短くなっているので、自然に仕事の期限も短く考えるようになっている。
では、この際スパンの長い外交を考えてみよう。日本なら、それができる。どこからも借金していないからで、逆に融資や投資ならどこの国に対してもたくさんしている。だから条件を明示して「かくかく、しかじかの国に対しては今後、融資も投資もしない」と声明して実行すれば、たぶん原爆投下と同じくらいの効果がある。
それを「世界再生攻撃」と名づけて実行すればよい。折り紙でツルを折るよりよほど確かな効果が期待できる。日本もそれだけの金持ちになったと思えば、国民は貯金した甲斐があったというものである。ただしいまは、外務省と経産省に勝手に使われている。
蔣介石は友人から「日本との戦争と中国共産党の発展防止という二つの問題にどう対応する気か」と訊かれて、「中国共産党の発展は内臓の病気だが、日本軍との戦争は単なる皮膚病」と答えた。まさにそのとおりだが、蔣介石はその内臓病である中国共産党との戦いに負けて台湾に逃げ、二度と戻ってこなかった。
21世紀のいま、予想される戦争はいろいろあるが、この分類を使って考えてみよう。まず、内臓に達する病はたくさんある。
アメリカでは、白人至上主義との戦いがすでに内臓に食い込んでいる。貧富の格差も同じである。宗教的原理主義者との戦いは、これから始まる。アメリカの各州と連邦政府の関係は、独立戦争の昔に戻るかもしれない。
英語ができないアメリカ人や白人でないアメリカ人は、いずれ過半数に達する。それでもアメリカ人として誇りを持って生きていくために必要なものは何か。
これは「内臓病対策とアメリカ」という問題である。そのときは、カリフォルニアは日本に――フロリダはスペインに――分裂してゆくのも一案になる。
ま、しかしそんなことが問題になるときは同じ問題がヨーロッパにも登場しているだろう。中国本土にも。
中国には「行省」がいくつかあるが、これは清の時代に中国語による統治はあきらめたところらしい。国があるとはいっても国内に言語がたくさんあるとは、日本人には想像がつかないことである。
アイデンティティを言い出すと、こんな話になって、国家という名称は使えなくなるとは島国育ちの日本人には想像を超えた話である。これはグローバリズムとローカリズムの対立といわれている。
21世紀はどこの国もこのように内臓が問題の時代になると思うが、日本がいちばん軽ければ日本は何かを世界のために言わなければならない。
400年続いた帝国主義に代わって登場する新しい世界を見るメガネは、実はどこの国にも備わっているローカリズムだと思う。そのうえ世界各国の庶民は、インターネット、観光旅行、日本への留学などを通じてホントのことを知るようになった。
となれば、世界は自然に「日本化」する。