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ESは30秒しか読まれない?採用担当者に“効率良く伝わる文章術”

新井翔太(NINJAPAN(株) 代表取締役社長、Abuild就活創設者)

2023年02月27日 公開

ESは30秒しか読まれない?採用担当者に“効率良く伝わる文章術”

就活生であれば、1度は経験するであろう「お祈りメール」。いくら優秀な人材であっても、エントリーシート(以下、ES)や面接の場で、自身の長所や魅力がしっかり伝わらなければ選考を突破することは難しい。

Abuild就活を展開しているNINJAPAN(株)の代表取締役である新井翔太氏は「選考を突破するために理解しておくべき概念や方法論選考がある」と指摘します。

※本稿は、新井翔太著「最強の就活フレームワークABUILD」(PHPエディターズ・グループ)から、一部抜粋・編集したものです。

 

選考突破に欠かせない「再現性」

ESや面接において重要な概念が「再現性」と「一貫性」です。「再現性」と「一貫性」さえ押さえておけば、評価が低くなることはありません。

企業視点では、その就活生がどれだけ会社に貢献できるかを推し量るために、「再現性」があるかどうかを重要視します。

1回きりのたまたまの成功や、学生段階だからできた価値をPRするだけでは、会社に入ってから活躍するかどうかが分からないからです。

入社後も、同様のスキルや考え方、行動様式を持って業務上再現できるかを担保する必要があります

つまり就活生がアピールすべき再現性とは、「いつでも何度でも使える」「働く未来でも応用可能な」ものでなくてはなりません。

長年継続していけることが評価されやすいのは、こういった背景からです。長く続けているから無条件に価値があるのではなく、長く続けているということは再現性を保証しやすいと判断されているのです。

たとえば、体育会系の部活動で全国優勝した人がいたとしましょう。プライベートで会ったとしたら、すごいですねと興味津々に話を聞くでしょうが、仕事の文脈では違ってきます。実は、この全国優勝という情報そのものには何のバリュー(価値)もありません。

人間は、無意識に情報にバイアスをかけて意味を付加してしまう傾向があるので、注意が必要です。相対化すると、そのスポーツで勝ったという事実があるだけであり、当たり前ですが、仕事業務においては何の価値を示すものではありません。足が速いからといって、仕事業務ができるとは限らない、と言えば分かりやすいでしょうか。

しかし、全国優勝をしたという事実の背後には「仕事にも再現可能な何かがあるはずだ」と推測できます。とはいえ、単に生まれ持った才能のために天才的にそのスポーツだけができるものの、仕事に関わる部分に問題がある場合もありえます。

ここで、初めて再現性が顕現します。

たとえば全国優勝をするために、頑張ってきたことを抽象化したときに「現状よりも高い目標を定めて、そのために必要なトレーニングを体系化し、定期的なモニタリングと修正を行いながら、仲間と共に意欲を高め合う仕組みを作り、継続して高水準の努力を行った」という人がいたとしたら、仕事でも目標達成力とタスク遂行力があるのだろうと再現性をもって評価されます。

 

言葉に一貫性を持たせること

内容に「再現性」があるかを判断するときに、「一貫性」が有意に働きます。「一貫性」とは、判定の役割を果たします。企業からすれば、就活生に対する信頼度の検定のようなものです。

情報の非対称性が企業と就活生の間に横たわっている以上、噓をついている可能性や話を盛っている可能性が捨て切れないのです。

真偽を判定するリトマス試験紙として「一貫性」があります。一貫性は2つの観点で成り立っています。1つは内容そのものの一致度です。同じ軸で構成されているかという一貫性です。

たとえば、「好奇心旺盛で色々な新しいことに挑戦する強みがあります」とESの序盤に書いていた人が、「粘り強く結果を出す強みを貴社で活かします」と終盤に書いていると、どんな印象を受けるでしょうか?

一般的な採用目線だと、「浅く広く」のタイプと言っていたのに途中から「深く狭く」のタイプになっているように捉えられてしまい、「一貫性」がなく、信頼に値しないという判定をされてしまいます。

またESにおいて、ある設問で答えたことと別の設問で答えたことに矛盾が生じていないことも、内容の一貫性として重要です。

たとえば、設問1で「一人でもやり切るリーダーシップを発揮できる」と書いているのに、設問2で「チームではサポート役が多い」と書いてあると、ぱっと見では整合性に欠けるように思われてしまいます。

もちろん人は相反するように見える性質を両立することは可能ですし、対義的な性質を同居させている人もいます。よくその人のことを知ればきれいに理解できるかもしれません。

しかし選考というのは限られた時間、限られた伝わり方の中で進行するものであると思い出してください。

もう1つは面接時におけるケースですが、態度と内容の一致度も非常に重要です。就活生の出す雰囲気と、アピール内容が一貫しているかどうかも判定材料になります。

たとえば、ぼそぼそと呟くように暗い話し方をする人が、「皆を元気づけるコミュニケーション能力があります」と言っても、誰にも信じてもらえないといった具合です。

またES内や面接内における一貫性だけでなく、ESと面接との一貫性も考慮に入れるべきです。

基本的に面接官は就活生のESを机に置きながら面接をします。ESで書いていることと面接で話していることに一貫性がないことは、露見すると思っておいていいでしょう。

ESで書いた内容と面接で話す内容に乖離がないようにしなければなりません。

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