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想像以上に厳しい「老後の住宅事情」

山下和之(住宅ジャーナリスト)

2018年09月26日 公開 2024年12月16日 更新

 

住宅ローンは定年で完済がお勧め

 これまで話してきた持ち家のメリットを享受するには、60歳までを目安に住宅ローンを完済することが必要です。住宅ローンは完済時年齢満79歳まで借りられますが、定年後も働くからといって、60歳以降、現役時代より安い給与の中からローンを返済するのは意外に大変。住宅ローンは、定年時の退職金などで早めに繰上げ返済し、それ以降の収入は老後の蓄えに回すほうが安心です。

 現在は低金利なので、長期で借りてゆっくり返せばいいと思う人もいるようですが、いくら金利が低くても、利子であることに変わりはありません。

 例えば、「金利1%、35年元利均等、ボーナス返済なし」で3000万円の住宅ローンを組んだとします。この場合、20年後の残高は約1415万円ですが、これを退職金で一括返済すれば、返済総額は約109万円も減らせます(一括返済しないと、毎月8万4685円×残り15年間で返済総額は約1524万円。20年目で一括返済すると、1524万-1415万=109万円のトクとなる)。

 住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンを完済するまでの平均期間は15年。40代で住宅ローンを組んでも、60歳までの返済は十分可能です。

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著者紹介

山下和之(やました・かずゆき)

住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。編集プロダクション勤務を経て、90年に独立。住宅、不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・執筆の他、セミナー講師やメディア出演など幅広く活躍中。著書に、『2017‐2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)など。

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