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想像以上に厳しい「老後の住宅事情」

山下和之(住宅ジャーナリスト)

2018年09月26日 公開 2024年12月16日 更新

 

自己資金があれば60歳で買ってもOK

 現役のうちに住宅を購入するよう勧めましたが、ある程度の自己資金を作れるなら、60歳前後まで賃貸で生活し、子供が独立したタイミングで夫婦二人だけの小さなマンションや家を買うのも一つの選択肢です。現役時代は教育費などを優先して無理に住宅を購入しないという方もいるでしょう。

 ただし60歳前後で買うなら、少なくとも購入費の半分は自己資金で賄うこと。そして首都圏なら都心に近い物件か、もしくは郊外でも駅近で、電車1本で都心に出られる利便性の高い物件を選ぶべきです。

 シニアが健康に長生きするには、積極的に外へ出て、趣味を楽しんだり、友人たちと交流することが大切です。そのためには、映画館や劇場などの娯楽施設が近くにあったり、仲間と集まりやすい場所が最適です。

 特に定年前後で家を買うなら、夫は妻のことを考えて物件を選んでください。女性のほうが平均寿命が長いうえ、妻が年下であれば、夫より10年や20年は長寿の可能性があります。妻が一人になっても趣味を楽しめたり、車が運転できなくなっても買い物に困らない場所を選ぶことは重要です。ぜひ長期的な視点で住まいを選んでください。

≪『THE21』2018年9月号より≫
≪取材・構成:塚田有香≫

著者紹介

山下和之(やました・かずゆき)

住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。編集プロダクション勤務を経て、90年に独立。住宅、不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・執筆の他、セミナー講師やメディア出演など幅広く活躍中。著書に、『2017‐2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)など。

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