加入範囲を広げて、さらに多くの保険料を集める
これまで、年金が「破綻」しないように、(1)、(2)、(3)のための法改正が繰り返し行われてきましたが、実は、ここにきてもう1つ、新たなテクニックが出てきました。
それが、(4)の「公的年金の加入者を増やす」です。働く人みんなから、できるだけ多くの年金保険料を集めようというものです。
今までは、パートなどで働いていても、年収が130万円に満たなければ、夫が会社員や公務員の妻は夫の扶養家族ということで、自分では1円も年金保険料、健康保険料を支払わなくても、国民年金、夫の健康保険に加入していることになっていました。
それが、2016年10月以降は、従業員501人以上の企業に勤めるパートは、月収が8万8000円を超え、1年以上勤めるなら、会社の厚生年金、健康保険に加入して、保険料を支払わなくてはならなくなりました。
2018年4月からは、従業員500人以下の企業でも、労使が合意すればこの制度が適用されることになりました。
さらに、この先は、従業員501人以上というハードルが完全になくなり、働く期間に関係なく、労働時間が週20時間以上で月収8万8000円以上などの条件は緩和されていきそうです。そうなると、今まで保険料を支払っていなかった会社員や公務員の妻も、年金の支え手になるというわけです。
以上から、年金が「破綻」するという事態はなかなか起こりにくいことはご理解いただけたかと思います。しかし、「破綻」はしにくいけれど、今の年金制度を継続するために、国民に多くの負担を強し いるようになるのは避けられないでしょう。
もちろん、すでに年金をもらい始めているという人は、(1)の「保険料を上げる」、(3)の「支給開始年齢を上げる」、(4)の「公的年金の加入者を増やす」というのは関係がなくなっているので、影響はその分少なくなります。