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狙われる退職金! "投資に向いていない人"の「3条件」

荻原博子(経済ジャーナリスト)

2019年01月30日 公開 2024年12月16日 更新

金融機関が個人投資家に仕掛ける嘘

私は、投資を全否定するつもりはありません。ただし、次の3つの条件が揃っていない方は、いますぐ手を引くべきだと考えています。

まずは、時間です。ITの進化により、株式相場はいまや1秒間にとてつもない回数の取引を行なっています。絶えず変動する相場の動きをチェックするだけの時間のゆとりがなければ、投資を成功させるのは不可能です。

コンピューターのスピード感についていけない方は、そもそも勝負の土俵にすら立てない。この点は高齢者の方は注意が必要でしょう。

二つ目が、お金です。投資とは、資金力のある人が圧倒的に有利な仕組みになっています。

たとえばAさんが200万円、Bさんが100万円のお金をもっていて、2人とも100万円の株を購入したとします。その株価が150万円に上がったならば、ともに50万円ずつ儲かります。

しかし問題は、株が50万円に値下がりしたときです。Aさんは残りの100万円であと2株を購入できますが、Bさんは指を咥えているほかありません。

すると、Aさんは仮にその株が75万円まで持ち直せば25万円の利益を得ることができます(最初の1株分で25万円の損ですが、次の2株で25万円×2=50万円の利益が出たためです)。他方、Bさんは25万円の損失です。

この例1つで、資金の多寡が投資の世界ではきわめて重要な要素であることがおわかりいただけるでしょう。

3つ目が、情報です。常識的に考えて、金融機関や機関投資家以外の個人によい情報が入ってくる可能性はきわめて低い。だからこそ多くの人が専門家にすがろうとするのですが、それはカモがネギを背負って鍋に飛び込むようなもの。

一般の個人投資家にアドバイスをする証券会社や銀行の人は肩書こそ「ファイナンシャルプランナー」ですが、彼らも一セールスマンです。彼らが勧めるのは、結局のところ自分が受け取るマージンの割合がよい商品。まずは自分自身が儲けないといけないわけですから、当然です。

また金融機関は、個人投資家にきわめて巧妙な「罠」を仕掛けてきます。いま流行りの外貨建て生命保険では、たとえば「日本の銀行ではほとんど利息が付きませんが、この商品ならば運用利回り3%以上です」などという売り文句が用いられます。

たしかに「日本の銀行ではほとんど利息が付かない」ことと「この商品ならば運用利回り3%以上」であることは真実です。でもじつはこれ、前者は預金の話をしているのに対して、後者は生命保険の話をしているのです。

両方ともフレーズ自体は真実なので騙されやすいのですが、無関係の預金の話を交ぜているわけです。さらにいえば、外貨建て生命保険は手数料が高い商品です。

一見、真実らしく聞こえる言葉の裏に「嘘」が含まれることは、よくある話です。

以上のように、「時間」「お金」「情報」の投資をする際に必要な条件を見ると、まず働き盛りのビジネスパーソンには、時間がないことがわかるはずです。お金だって、十分に貯まっていない。

一方、高齢者は時間とお金があっても、良質な情報を収集する方法が少ない。老いも若きもコロッと金融機関に騙されてしまう可能性があります。投資を検討している方はいま一度、「時間」「お金」「情報」が自分にあるか、振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

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