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あの「マインドフルネス」を超える!? アメリカのセレブが続々とハマる“瞑想”

ボブ・ロス、かんき出版編集部

2019年05月29日 公開 2024年12月16日 更新

 

瞑想中に何かを考えても、動いても眠ってもいい

瞑想と聞いて私たちが思い浮かべるのは、床に足を組んで座り、背筋を伸ばし、目を閉じ、頭を完全に空っぽにするというスタイルだろう。

ところが、「超越瞑想」では、瞑想中に頭の中を空っぽにする必要はないのだという。思考も瞑想の一部だと考えるのだ。決まった呼吸法もなければ、肉体の感覚に鋭敏になる必要もない。

また、瞑想するときの姿勢も特に決まっておらず、家や職場の椅子に座って行ってもいいし、飛行機や電車の中でも、公園のベンチでもかまわない。楽な姿勢であれば、どんな場所でも、どんな座り方でもかまわないという。

さらに、瞑想中に体を動かしてもかまわないし、眠くなったら眠ってかまわない。目が覚めたら、すっきりした頭で瞑想を続ければいいのだ。眠くなるのは、身体がより深い休息を必要としているからで、それもまた瞑想の一部だと考える。

この、心身に無理を強いることのない自由さが、多くの人々に受け入れられやすいポイントなのだろう。

もう一つ、「超越瞑想」の特徴がある。それが、この瞑想の効果を科学的に解明しようと試みてきたことだ。

これまで、ハーバード大学、UCLAをはじめ、さまざまな大学のメディカルスクールなどで、400以上の研究が行われた。

その結果、TMには心身の健康を向上させる効果があることが確認され、その研究は、米国医師会が発行する『JAMAインターナル・メディシン』誌や、アメリカ心臓協会が発行する『発作』誌や『高血圧』誌といった信頼性の高い医学専門誌で発表されている。

その研究から、瞑想は「フォーカス・アテンション瞑想」「オープン・モニタリング瞑想」「自動的な自己超越瞑想」という大きく3つのタイプに分けられるという。脳や心血管、呼吸器、神経系などの反応がそれぞれ違うのだそうだ。

 

夜の睡眠よりも体が深く休息している状態に

この3つのカテゴリーの中で一般的な瞑想のイメージに一番近いのが「フォーカス・アテンション瞑想」だろう。先述のように、床に足を組んで座り、背筋を伸ばし、目を閉じ、頭を完全に空っぽにするというよく知られた方法だ。

「オープン・モニタリング瞑想」はその逆で、何も考えないのではなく、自分の思考を客観的に観察するという方法。批判をせず、ただ思考がやってきて、そして去っていくのを観察する。

そして、超越瞑想が含まれるのは「自動的な自己超越瞑想」だ。この瞑想中に発生する脳波を測定したところ、ほかの2つのカテゴリーとは違い、主にα1波(8~10ヘルツ)が前頭前皮質から発生していることがわかった。α1波は深い安定、内省、完全な覚醒という状態を表している。

ハーバード大学、医学大学院で行われた研究では、瞑想中と睡眠中の酸素消費量を比較して休息の深さを測定したところ、超越瞑想を開始して10分以内に酸素消費量が平均16%減少することが分かった。これは夜の睡眠よりも体が深く休んでいることを示しているそうで、非常に深いリラックス状態にあることがわかる。

また、イラク戦争の帰還兵を対象にした最近の調査では、超越瞑想を始めてわずか8週間でPTSD(心的外傷後ストレス症候群)や不安、うつ、不眠などの症状が50%減少し、3カ月後には帰還兵の70%が治療を必要としなくなった。一方、一般の心理療法を受けた対照グループには改善は見られなかったという。
(参照文献:Military Medicine, june 2011、Journal of Counseling and Development 64: 212–215)

また、超越瞑想の実践中には、ストレスによって減ってしまう「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンが増大し、さらにそれが一日中続くようになることも分かっている。
(参照文献:BUJATTI, M., and RIEDERER, P. Serotonin, noradrenaline, dopamine metabolites in Transcendental Meditation technique. Journal of Neural Transmission 39: 257–267,1976.)

2007年に米国の国立衛生研究所の委託によって行われた高血圧に対する代替治療の効果の分析では、統計的に有意な効果が認められ、米国の心臓病学会が、超越瞑想は高血圧の治療法として処方することができると発表した。(参照文献:Current Hypertension Reports 9: 520–528, 2007)

さらに、大人であってもIQ(知能指数)が伸びるという結果まで出ているという。(参照文献:Travis, F. and Arenander, A. International Journal of Neuroscience, 2006)

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マイケル・J・フォックスも実践する瞑想

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