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定年後こそ挑戦!「シニア起業」は「ゆる起業」でいこう

片桐実央(銀座セカンドライフ株式会社代表取締役)

2019年09月18日 公開 2023年10月04日 更新

答えは自分の中にある――起業アイデアの探し方

「ゆる起業」というくらいですから、それを実現するには背伸びせず、まずは「難易度の低いビジネスからスタートする」ことが重要です。具体的にいうと、「自分でサービスを提供する能力があるか」、あるいは「見込み客を持っているか」――どちらかを満たしていれば、起業は可能だと私は考えています。自分で何かできて、さらに売り先もちゃんと決まっていないと起業できないのでは……なんて心配する必要はありません。

私の経験から申し上げると、最初から両方そろって起業する人は全体の5パーセントほど。自分にできもしないサービスを、売れるアテもなく始めるのではさすがに無謀すぎますが、ほとんどのシニア起業家は何かしら欠けた状態からスタートしています。そうとわかれば、背中を押されてポジティブに一歩を踏み出せるのではないでしょうか。

一方で、「自分には何もない」とおっしゃる方が少なくないのもまた事実です。「起業はしたいけれど、自分に何ができるのかわからない」と。そういう場合は、起業アイデアを発掘するヒントとして、“三つの円”を使って考えてみるといいでしょう。

簡単に説明すると、まず、これまでの人生を振り返り、自分の「得意なこと、強みだと思えること」と「やりたいこと、好きなこと」を洗い出してください。そして、その中に「お金になること、市場性があること」がないか、探すわけです。一見単純ですが、この三つの円が重なり合ったところで起業を進めると、成功する確率はぐんとアップします。自分自身を顧みること、よく知ることが起業の第一歩ですからね。

また、アイデアはあるけれど、具体的な事業内容にまで落とし込めていない、どういう商品やサービスに結びつけてビジネスにすればよいかわからないという場合には、企業で経営戦略を立案する際によく使われる、「SWOT分析」という分析手法が役に立ちます。私自身、祖母の介護をきっかけに、シニアのセカンドライフを支援したいという漠然としたアイデアに目覚めたわけですが、セカンドライフ支援といっても、実際に何をすればいいかわからず、随分悩みました。そこを最終的に解決できたのは、こうした自己分析ツールのおかげ。当社の起業相談やセミナーでもおおいに活用しています。

たまにですが、相談に来られたお客様に「今流行りの儲かる起業アイデアを教えてくれ」と言われることがあります。でも、考えてみてください。長いサラリーマン生活を振り返れば、企業の論理で「儲かること」を優先するあまり、自分を抑えて、犠牲にすることも多々あったのではないでしょうか。また流行りのビジネスで起業するより、自分にできることで起業したほうが成功する確率は高まります。だからこそ、あくまでも自分を起点に、自分のペースや自分のアイデアを大切にしていただきたいのです。

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