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「生活に役立つチカラ」を技術革新で広げたい~ホンダのパワープロダクツ事業

マネジメント誌「衆知」

2019年08月14日 公開 2019年08月14日 更新

「生活に役立つチカラ」を技術革新で広げたい~ホンダのパワープロダクツ事業


 

奥田克久(本田技研工業株式会社執行役員・パワープロダクツ事業本部長)
おくだ・かつひさ*1964年生まれ。’87年本田技研工業入社。2012年汎用パワープロダクツ事業本部海外業務室長。’14年汎用パワープロダクツ事業本部地域業務室長。’16年汎用パワープロダクツ事業本部事業管理室長。’17年執行役員、パワープロダクツ事業本部長に就任し、現在に至る。

 

軽量、シンプル、自動化……ホンダイズムの新たなる挑戦と戦略

「人々の生活を技術で助け、役立ちたい」……創立70周年を迎えた今も、創業者・本田宗一郎の想いはホンダに脈々と受け継がれている。その中でも、働く人の負荷を軽減し、暮らしに楽しさと便利さをもたらす事業を展開するパワープロダクツ事業は、「人生100年時代」に向けてさらに大きな役割を担おうとしている。事業を統括する奥田克久事業本部長に、これまでの軌跡と今後の戦略をうかがった。

取材・構成:加賀谷貢樹
写真撮影:吉田和本
 

本田宗一郎から受け継ぐ「人の役に立つ」理念

本田技研工業(以下、ホンダ)は、創業者の本田宗一郎が、戦後の食糧や物資が不足していた時代に、物資の買い出しに奔走する人たちを助けたいという想いから、通信機用エンジンをつくり替えて自転車に搭載した二輪事業からスタートしました。

そして1948年に設立した当社は、その5年後の1953年に汎用事業(現・パワープロダクツ事業)を開始。農機をはじめ、様々な用途に用いられる汎用エンジンの発売に始まり、1959年には同エンジンを搭載した耕うん機「F150」を発売したのです。

「F150」は、戦後農業の苛酷な労働環境の改善に貢献することを目的に開発されたパワープロダクツ事業初の完成機でした。革新的な技術を盛り込み、当時大きな反響を呼びました。

現在、パワープロダクツ事業は、汎用エンジンのOEM(他社ブランド製品の製造)販売や耕うん機、発電機、蓄電機、除雪機、Honda歩行アシスト(歩行訓練機器)などの開発・販売を手がけています。働く人の負荷を技術で軽減したいという本田宗一郎の想いが、この事業の原点といえます。

また当社の汎用エンジンは、ホンダの耕うん機や船外機、発電機、除雪機などに限らず、他社の様々な機械に使われており、当事業部の売上高の7割近くを占めています。ホンダは2017年に、二輪と四輪とパワープロダクツを合わせて、全世界で3104万台を販売しましたが、そのうち626万台がパワープロダクツ製品です。

本田宗一郎は、移動と暮らしについて「『人の役に立つ』ことにこだわる」と言い続けてきました。当事業部が手がけるパワープロダクツ製品は、直接的に様々な人の役に立っているといえるでしょう。

パワープロダクツ事業部では「役立つ喜び、もっと拡げたい」(英語で「Helping People Get Things Done」)という事業スローガンを掲げています。つまり「人が何かを成し遂げることを助ける」のが当事業部のモットーであり、人の役に立つ喜びを感じ、それを広げたいと願っているのです。

ホンダの製品を使っていただいた方が誰かの役に立つことはもちろん、製品を一緒に売り、サービスを担当していただいている販売店さんにも、ユーザーの役に立つことを喜んでいただく。こうした「役に立つ喜び」の連鎖を、今の世の中に広げていく役割を担っていると考えています。

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