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「肥満の犯人は脂質ではない」アメリカの医師が主張する驚きの”新説”

マーク・ハイマン(監訳:金森重樹)

2020年05月26日 公開 2023年01月13日 更新

マーク・ハイマン

一生肥満にならない食べ方 

では、「脂質は肥満の原因」という幻想を覆すために具体的に日々、何をどう食べればよいのか、動物性食物を摂取しないいわゆる「ヴィーガンダイエット」の研究で、その食事法は減量、糖尿病の改善、コレステロールの低下に役立つことがわかっている。

また、穀物や肉類を中心とした原始人食の接種を勧める「パレオダイエット」にも同じ効果があるように見える。そうすると、あなたは動物性食物を避けて、豆類、穀類、野菜を食べるべきか、それとも、罪悪感なしに肉や脂肪を食べて、穀物や豆類をすべてやめるべきなのか?

ヴィーガンダイエットとパレオダイエット、双方の考え方にはどちらも優れた面があるが、どちらも、それだけでは完全ではない。

こうした研究でよく見かけるのは、質の高いパレオあるいはヴィーガンダイエットを、ポテトチップ、コーラ、菓子パン、パスタなどの加工食品、糖質、精製炭水化物、低品質の工業畜産物、精製油を多く含むの普通の食事と比較するやり方だ。

平均的な家庭のキッチンは、食品産業にハイジャックされた恐ろしい場所だ。不幸なことに、ほとんどの人はもはやフード(本当の食べ物)を食べていない。口にするのは、工場で工業的に生産された食べ物に似た物質(フランケンフード)だ。

それには、病気の原因となるトランス脂肪酸、異性化糖、MSG(グルタミン酸ナトリウム)、人工甘味料、着色料、添加物、保存料、殺虫剤、抗生物質、遺伝子工学と遺伝子育種に由来する新しい食品タンパク質およびアレルゲンがたっぷり含まれている。

自然食品の食事法ならどんなものでも―ヴィーガンでもパレオでも―ひどい工業的加工食品と比べれば、はるかに良い結果が出るだろう。また同様に、肥育場飼育の肉、ボロニアソーセージとわずかな新鮮野菜を食べるパレオダイエットを、自然食品、低GIのヴィーガンダイエットと比べても役に立たない。

しかし、理想的で健康に良いパレオダイエットと、理想的で健康に良い高脂質のヴィーガンダイエットを比較した人はこれまで誰もいない。私の推論では、どちらも健康に良くて、脂肪の多い動物性食品の食事が良い人もいれば、植物中心で脂質の多い食事のほうが良い人もいると思う。

人類には驚くような適応性がある。しかし、一番大事な質問はただひとつ、あなたに適した食事法は何か、というものだ。

食べ物と生活習慣は、あなたの体の反応にもとづいて選択すべきだ。自分の体の声に耳を傾けよう。何が好きかは体が話してくれる。その理解には時間がかかるし、観察が必要だが、あなたの体は身近にいる最高のドクターなのだ。

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体重を最速で減らす究極の食べ方

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