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ついに“民が官より”時代遅れに! 霞が関「パスワード付きzipファイル廃止」の衝撃

沢渡あまね(業務改善・オフィスコミュニケーション改善士)

2020年11月20日 公開 2022年02月22日 更新

 

ワークスタイルの変化や多様性を阻害

駐車後の車中からインタビューに答える沢渡あまねさん
駐車後の車中からインタビューに答える沢渡あまね氏

【沢渡】このような「固定」を強いられる働き方は、多様な働き方の阻害要因になりますが、これって別に超多忙な経営者や役職者だけの問題ではないんですね。

フリーランスはもちろん、企業の中でも、営業部門や企画部門、クリエイティブな仕事をしている方などが外で働くことが当たり前になってきている流れもあります。

あるいは時短勤務の方や育児休暇前後の親御さんであれば、働く時間をいかに確保するか、短い時間の中でいかにアウトプットを出すか、といった点は死活問題になってくるわけです。

たとえば、保育園に子どものお迎えにいく道すがら、あるいは家事の間にスマホでメールチェックしたり返信したり、細切れの時間を使う環境があるかないかによって出せるパフォーマンスも本人の負担もまるで変わってくるんですね。

こうした環境を阻害するPPAPのようなやり方は、限られた時間で成果を出し、キャリアを充実させていく上でも阻害要因になると考えています。

私は今、浜松のNOKIOOというベンチャー企業の顧問としても働いているんですが、実は20名のメンバーのうち8割が女性です。そのうちほとんどの方が、子育てをしながら働いていらっしゃいます。

基本的にやりとりはマイクロソフト社のTeamsのメッセンジャー機能を使っていて、移動中など細切れの時間も活用しています。だからこそ、育児をしながらでもパフォーマンス高く働くことができる。こういった環境があることは、場所に依存しない働き方、ダイバーシティ推進、さらには組織のパフォーマンス向上の大きな前提条件なのだと、日々肌身で実感しています。

ぜひ、ワークスタイルの変化や多様性の観点からこの問題に向き合っていただきたいと思います。まさにこの取材も、通勤中の車内でハンズフリーな方法で受けていますよね。こういう、場所にとらわれない、細切れな時間の使い方ができる時代なわけです。

 

セキュリティ対策としても絶望的!?

zipファイル添付パスワード別送の非効率性とリスク

――PPAPの弊害を、単なる個人や一企業の怠慢として済ませてはいけないことがよくわかりました。さらに、肝心のセキュリティ面についても効果は疑わしいと。

【沢渡】PPAPのセキュリティ対策上の効果は、きわめて限定的といえます。この点は今回あらためて強調しておきたいです。

そもそもPPAPが効果的なケースって、「1通目のメールで添付ファイルを送った直後に宛先の間違いに気づき、パスワードを書いた2通目を送るのをやめたケース」においてのみ、添付された情報の漏洩や拡散を防げる(であろう)という程度なんですね。

皆さんに問いたいです。1通目のメールを出し、2通目を送る前に誤送信に気がついたことって今までありましたか。どんなに丁寧に確認しても、2通目を送る前に間違いに気づく可能性は限りなく低いですよね。人間にはバイアスがありますから。最近はご丁寧に、パスワードを送るメールを自動化しているケースすらあります。そうなるともはや絶望的ですよね。

さらに今は、添付ファイルのパスワードを解読するツールがいくらでも出回っています。その気になれば解読もできるわけです。もはやPPAPには、情報拡散や誤送信を防ぐことができうる効果はほとんど期待できません。

PPAPを放置しているにも関わらず、「セキュリティ対策」を理由に対面打ち合わせにこだわる、クラウド利用不可などと言ってくる企業もいるくらいで、その無自覚さには辟易させられます……。

PPAPの非効率性とリスクについて、1枚の図にもまとめてみました。特に注目していただきたいのが、PPAPは「受信者側の手間もリスクも増やす」というポイントです。受け手の手間やビジネスリスク、セキュリティリスクをまったく考慮していない、非常に「身勝手」な行為だということにいい加減気がつくべきです。無自覚にやっている分、タチが悪いともいえます。

【沢渡】拙著『仕事ごっこ』の第7章でもセキュリティの専門家のコメントを交えて解説していますので、詳しくはそちらも参照していただければと思います。

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実は「民」が「官」よりも時代遅れ!?

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